新聞を超えたつながり - 朝日新聞社 Pt 2

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前編】(https://www.brightcove.com/ja/resources/blog/video-addict-vol3-asahi-shinbun-1)に引き続き、朝日新聞の瀬戸口さんに、新しいプロジェクトに取り組むために必要なスキルセットや、今後の展望などを語っていただきます。

朝日新聞社が開催するイベントの価値を最大化する

BC土屋:瀬戸口さんがこれまで携わった映像作品で、一番印象に残っている出来事は何ですか?

AS瀬戸口: カメラマンとして言うなら、新元号「麗和」の発表の取材だった。冷静沈着な官房長官も発表の瞬間は緊張しているのがファインダー越しにわかり、手が震えた。時代の転換点を視聴者の目と耳に届けられたことは、夢にも思わなかった光栄なことだと思った。

ゼロから立ち上げたプロジェクトのひとつが、長い歴史の中で初めて取り組んだ全日本吹奏楽コンクールの動画配信だ。全日本吹奏楽コンクールは、全日本吹奏楽連盟と朝日新聞社が主催するアマチュア吹奏楽の音楽コンクールで、チケットは発売開始数分で完売するほどの熱狂的なファンを持つ。私自身は吹奏楽の経験はないのだが、全日本吹奏楽コンクールでの演奏に感動し、ネットで配信したら面白いのではと思った。

途中、紆余曲折はありましたが、各校のダイジェスト動画(1本3分前後の動画60本)を会員制サイトで配信することができました。各校の演技終了後10分ほどで動画が配信されたのですが、視聴者の方からはツイッターで「なんでこんなに早いんだ」といった感想をいただき、ファンの方々の応援にとても感謝しています。通常とは異なる顧客層を獲得し、マネタイズすることで、朝日新聞社が開催するイベントの価値を最大化できた成功例だと思います。

♪前例を気にせず、新しさを楽しむ

BC土屋:朝日新聞社では、コンテンツの企画から配信まで一貫して行っているのが特徴です。御社ではどのような人材が求められているのでしょうか。

AS瀬戸口:下っ端の立場から発言するのは少し緊張しますが...
会社は私たちの仕事内容を細かく定義していません。やったことのない面白いことにチャレンジすることが求められています。前例にこだわらず、新しさを楽しむマインドを持った人が面白いことを成し遂げられると思います。そういう人と一緒に働きたいですね。できない理由を考えるより、まず調べて行動できる人。はい、すみません。そういう人になりたいです(笑)。

BC土屋:私自身の経験でも、すでにある程度のキャリアを積んでいる人のマインドセットを変えるのは難しいと感じています。スキルがなくても後から教えることはできるので、まずはマインドセットが一番大事だと思います。

AS瀬戸口:そうですね。まずはこのマインドを持つことが大事ですね。

 良い写真やビデオを撮るための努力は普遍的なテーマである

BC土屋:朝日新聞社で今後どのようなことをお考えですか?

AS瀬戸口:動画ひとつとっても、投稿から配信まで、ユーザーにどう届けるかを考えたい。SNSなど配信プラットフォームが多様化する中、ワークフローの最適化は大きなテーマです。

写真家として普遍的なテーマは、より良い写真や映像を撮るために努力し続けることだ。映像表現のトレンドも常に変化しています。もっとわかりやすく言うと、ウェブならではの新しい表現方法や技術を学び、新しい映像コンテンツ作りに挑戦していきたいと思っています。

新聞社でビデオを扱うのは特別な存在だ

BC土屋:テレビ局の場合、テレビカメラや機材について高度な専門知識が必要なことが多く、新卒のときから勉強して身につける必要があると思います。一方、新聞社で使う機材は民生用とそれほど変わりません。

AS瀬戸口:そんなことはないですよ。ただ、映像の作り方に関しては、テレビ番組の映像編集の常識が必ずしもウェブに当てはまるとは限りません。例えば、動画の構成や編集に関して言えば、ウェブ用の動画は「クライマックス」を最初に持ってくるなど、それなりの工夫が必要です。一番面白いところを最初に置くというのは、今までの文法とはまったく違うんです。

BC土屋: なるほど。特にウェブ用の短い動画では顕著だと思います。また、個人的に面白いと思うのは、近年、新聞社の動画活用の幅が広がっていることです。これは、動画制作がしやすい体制が整っているテレビ局に匹敵します。

AS瀬戸口:別の新聞社で同じような仕事をしている人と話したのですが、新聞社で映像を担当している人は社内でもちょっと異常な存在だということで意見が一致しました。新聞社で映像を担当する人は特殊なのだ。既成概念や伝統に縛られることなく、新しいことを実践できることが皆の誇りであり、だからこそ発展が早いのかもしれない。

業界は団結すべき時ではないか?

BC土屋:新聞社同士の横のつながりはありますか?

AS瀬戸口:現場にはありますが、フォトジャーナリスト協会のようなビデオ版はありません。ウェブ上の報道機関のビデオ部門の「記者クラブ」もない。写真記者協会の傘下に入るかどうかも不明。

BC土屋: 今、フレームワークを決めようとしているところですか?

AS 瀬戸口:ちょっとみんな困っているから、一緒にやらないか?水面下で話し合っています(笑)。

ブライトコーブでミートアップを企画したいですね!

AS瀬戸口: 記者会見場に集まった報道各社と一緒になって、現状の問題点や今後について話し合いたい。そろそろ業界みんなで集まる時期だと思うので(笑)。

ライバルではありますが、同じ道を選んだ同志だと感じています。コンテンツでは競い合いますが、同じ報道機関として仕事をしている以上は協力し合い、技術的な面でも共有し、フィードバックしていくことが、業界全体のレベルアップにつながると思います。

朝日新聞社は、映像活用のパイオニア的存在である新聞社だ。自社にとどまらず業界全体を視野に入れた広い視野と、何事にも恐れずに挑戦する姿勢に感銘を受けた。私も近い将来、Meet Upを実現させたい。

次回のVideo AddictはGYAOの本城さんです。お楽しみに!

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インタビューを終えて

BC土屋

VOL.1】(https://www.brightcove.com/ja/resources/blog/video-addict-vol1-ntv-1)、【VOL.2】(https://www.brightcove.com/ja/resources/blog/video-addict-vol2-tx-1)ではテレビ局の人にインタビューしたが、今回は新聞社に勤める瀬戸口さんにインタビューした。新聞社に勤めている人も、テレビ局に勤めている人も、サービスを作っている人も、みんなちょっと似ている印象がある。インタビューの冒頭、瀬戸口さんは何を話せばいいのか悩んでいたようだが、どんどん入り込んで面白い話をたくさんしてくれた。瀬戸口さんの作るもの、そしてそれを提供する人たちには情熱があふれているのだと思う。また、強く共感したのは、「必要なのは技術だけでなく、新しいことに挑戦するマインドを持った人」という言葉だ。期待を超えるものを作ろうとするとき、必要なのはそういうことだ。さまざまな技術がオープン化し、コミュニティが生まれることで、年々扱いやすくなっている。一方で、情熱やマインドの重要性は年々増していると感じます。今後は、映像に情熱を持っている人たちを集めて、いろいろな話をしていきたいと思っています。新聞社の動画配信担当者向けのミートアップも企画中です!

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