動画配信プラットフォームのROIはどのように計算するのか?

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一般社団法人日本情報システム・ユーザー協会の「企業IT動向調査2019(2018年度調査)」(https://juas.or.jp/cms/media/2017/02/it19_ppt.pdf)によると、デジタル化の3大課題の1つに「効果の見極めが難しい」がある。しかし、新たなシステムを導入する場合、ROI(投資対効果)の試算が求められるケースは少なくない。では、有料動画配信プラットフォームを導入する場合、ROIはどのように算出すべきなのだろうか。

目次__

- [1.前提条件運用管理業務の標準化・効率化] (#1-)
- [2.定量的指標(KPI)の設定] (#2-)
- [3.ROIの算出] (#3-)

## 1.前提条件運営管理業務の標準化と合理化

限られた人的リソースの中で、運用管理の作業負荷や労力を軽減し、業務を処理するための取り組みとして、映像配信プラットフォームの導入が映像配信インフラの最適化につながると仮定すれば、テクノロジーを活用した運用管理の標準化・効率化の取り組みといえる。ガートナーの調査分析レポート「IT投資効果を把握するためのポイント」を参考にROIを算出してみよう:評価プロセスとKPI」

## 2.定量的指標(KPI)の設定

まず、プロジェクトから得られるビジネスベネフィットと、プロジェクトの導入・運用にかかるITコスト(年間コストと総所有コスト(TCO)*)を見積もります。

TCO(Total Cost of Ownership)とは、米国ガートナー・グループのビル・カーウィン氏が提唱した概念で、「情報システムの企画、設計、購入、開発、導入、保守、運用、利用に必要なすべての費用の合計であり、IT資産の購入や保守に必要な直接的な支出だけでなく、技術の習得やシステムの維持、管理・活用に必要な人件費も考慮した包括的な所有コスト」を指す。

映像配信プラットフォームの導入効果は、ITシステム部門にとどまらず、導入のきっかけとなった部門を中心に、導入後に一緒に使い始める複数の部門にまたがって実感されることが多く、導入効果だけを測定することは難しい。そこで、関連する業務領域と連動した定量的な指標(KPI)を設定し、現状値を把握した上で、システム稼働後の目標値を設定してみよう。ここでは、動画をマーケティングに活用する場合を想定する。想定できるKPIのカテゴリーは以下の通りである。

### 業務プロセスの効率化

映像配信業務に費やす時間やその人件費は見過ごされがちだが、映像配信ワークフローを最適化することで、運用管理や作業負荷の軽減、省力化を図ることができる。その結果、単純作業にかかる工数を削減できることのインパクトは小さくない。節約できた時間は、高度な動画視聴分析など、よりマーケティングに直結する業務に充てることができる。

この指標を使う場合、最適化された場合とそうでない場合の運用コストを比較する必要がある。

一般的に、有料の動画配信プラットフォームを導入すると、社内の映像担当者が行う様々な作業のステップ数が減り、生産性が向上する可能性がある。このように、ワークフローを効率化することで工数が削減できれば、映像管理・配信にかかる業務時間や残業時間の削減が期待できると考えられる。

また、新しい動画配信プラットフォームを導入する前に、これまで外部企業に委託していた業務があったとする。具体的には、動画専用サイトの制作や更新、ソーシャルメディアへの動画配信などの業務が考えられます。新たな動画配信プラットフォームの導入や、無料動画配信プラットフォームから有料動画配信プラットフォームへの乗り換えによって、不要になる業務や内製化できる業務があれば、外注費(人件費)の削減につながります。

### 売上向上への貢献(顧客維持率、売上転換率などの向上)

この指標は、売上アップにつながるビジネス効果を指す。そのため、自社のマーケティング施策で設定したコンバージョンに対する動画施策の貢献度を測定する必要がある。

例えば、有料動画配信プラットフォームを導入することで、動画に関わる作業を圧縮し、浮いた時間でより多く、より質の高い動画マーケティングキャンペーンを実施できたとします。その結果、顧客維持率や売上転換率が向上し、利益の増加につながると考えることができます。

### ブランディングに貢献(認知率、購入意向率などの向上)

ブランディングはマーケティングの一環と捉えることもできるが、マーケティングは顧客の行動を変える活動であるのに対し、ブランディングは顧客の認知を変える活動である。ブランディングの貢献度については、認知率、購買意向率、購買頻度など、ブランディングの効果を測る指標を設定し、売上への貢献度を定量的に測定する必要がある。

一例として、有料の動画配信プラットフォームを導入したことで、企業イメージやコーポレートカラーを反映したカスタマイズされた動画プレーヤーを使った動画配信が可能になり、よりポジティブな意識改革につながったとする。その結果、購買意向率が向上し、売上増につながると考えられる。

## 3.ROI計算

では、2で設定したKPIをもとにROIを算出してみよう。ここでは、有料動画配信プラットフォームの導入により期待されるKPIとして、以下の3つを想定する。

- __KPI1:業務プロセスの効率化__
- __KPI2:販売転換率の向上__
- __KPI3:購入意向率の向上__

投資対効果(ROI)は、利益÷投資額×100で算出されるため、導入前後の利益・効果と投資額の差を算出するために、上記の各KPIを金額に換算して算出する。

### KPI 1:業務プロセスの効率化

例えば、以前は無料の動画配信プラットフォームを利用していて、月20時間かかっていた作業を、有料の動画配信プラットフォームを導入することで工数を30%削減し、14時間で完了できるようになった場合、削減した工数にかかる時間(6時間)に動画担当者の平均時給をかけることで、得られるメリットを算出することができます。年間の総額を計算する。

- 業務時間の削減(年間)=ビデオ管理・業務時間の削減(月間)×ビデオスタッフの平均時給×12

### KPI 2:販売転換率の向上

動画マーケティングキャンペーンの数が増え、キャンペーンの質(レスポンス率)が向上したと仮定して、利益を計算する。

- 販売転換率改善による利益(キャンペーン改善による利益合計)

### KPI 3:購買意向率の向上

カスタマイズされたブランドイメージを反映した動画プレーヤーを使った動画配信により、認知内容が改善され、購入意向率が向上したと仮定する。この場合、一定期間の購入意向率調査を複数回実施することで、売上に貢献した結果、向上した利益を算出する。

- 購入意向率上昇による利益(2回目の測定による利益-1回目の測定による利益)

ここでは、他の要素は変更せず、購入意向率のみを考慮したと仮定する。また、売上に影響しうる他の項目(認知率など)についても同様に計算することができる。

これらのKPIで計測した利益と効果の合計額を動画配信プラットフォームへの投資額で割ることでROIを算出することができます。ROIは利益÷投資額×100で算出されるため、利益と投資額の合計を算出する必要がある。

#### "利益"

総利益="業務プロセス効率化によるコスト削減+販売転換率向上による利益+購買意向率向上による利益"

#### 投資額

映像配信プラットフォーム費用(システム費用+保守費用)」の総額 ※"

動画配信プラットフォームにかかる費用については、「【動画配信プラットフォームを自社で選定する際の7つの必須ポイント】(https://www.brightcove.com/ja/resources/blog/video-platform-checkpoint7)」をご参照ください。

__ROI (%) = <sup>Profit gained from introducing a paid video distribution platform</sup> /<sub>Investment amount related to the paid video distribution platform</sub> x 100__

ROIの数値が高ければ高いほど、費用対効果は高い。ROIを高めるためには、投資額を抑えるだけでなく、利益や効果を高めるための具体策を検討する必要がある。

いかがでしたでしょうか?御社のKPI設定やROI算出に、この記事がお役に立てば幸いです。

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