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By Nao Tsuchiya

Principal Technical Consultant at Brightcove

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//Video Addict// Vol.3 朝日新聞 瀬戸口氏(前編)〜 新聞社で発展した動画活用 〜

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VOL.1、VOL.2とテレビ局が続きましたが、三回目のVideo Addictでは、日本を代表する新聞社である朝日新聞様について取材します。日本新聞協会の発表によると、日本の新聞発行部数は14年連続して減少しているそうです。このような状況のなか『紙とデジタルの融合』を至上命題に、朝日新聞社ではデジタルトランスフォーメーションにいち早く取り組まれています。今回は、朝日新聞社の瀬戸口氏に、同社における動画活用方法についてお話頂きます。

瀬戸口 翼(せとぐち・つばさ)氏
株式会社朝日新聞社 デジタル編集部マルチメディア班キャップ

2008年入社、航空機運航を担う航空部の無線機器エンジニアとして入社。業務の一環である映像空撮をきっかけに2012年より現部署へ。写真・動画・VR・ライブ動画コンテンツなどの映像コンテンツ制作を担当。動画ポータルページ制作や、動画配信フローの立案、保守・改善などに携わる。

事実をリアリティをもってユーザーに伝えることができる

ブライトコーブ(以下BC)土屋  瀬戸口さんは普段取材をする側だと思いますが、今回は我々が取材をさせて頂く立場になります(笑)。簡単に瀬戸口さんの経歴をご説明頂いて良いでしょうか?

朝日新聞(以下AS)瀬戸口氏 そうですね、取材されることが無いので緊張します(笑)。私は2008年に朝日新聞社に入社し、航空部という空撮取材している部門にエンジニアとして配属されました。2012年から現職(デジタル編集部 マルチメディア班 キャップ)で、カメラマンとして写真・動画・VR・ライブといったWebのビジュアルコンテンツを企画・取材・編集・ページ制作しています。また、動画ページのリニューアルや、出稿部からよせられる様々な動画を、各種サービスへ展開する運用立案、保守改善に携わっております。

BC土屋 デジタル編集部には何名の映像担当者がいらっしゃるのでしょうか?

AS瀬戸口氏 デジタル編集部では若干名とさせてください。ただ、部署は違うのですが映像に取り組んでいる方が他部門にたくさんいます。

BC土屋 朝日新聞社がもつメディア上で、動画が比較的自由に配信できるようになったのは、いつ頃からですか?

AS瀬戸口氏 2001年ごろから実験的に取り組み始めて、朝日新聞デジタルが誕生した11年ごろに日々配信できる体制ができました。

BC土屋 それまでテキストと写真だったものに動画が加わるというのは、当時、新聞社にとってどのような感覚だったのでしょうか?

AS瀬戸口氏 1つ目は、ジャーナリズムを実践する会社として、動画という新たな表現手段を得たという感覚でした。動画が加わることにより、事実をリアリティをもってユーザーに伝えることができます。2つ目はビジネス的に新たな可能性を得たと感じました。広告収入だけではなく、日本全国、世界中に駐在する記者たちが作り出すコンテンツ、その価値を最大化できるという期待感です。実際に、弊社のグループ企業であるANN(オールニッポン・ニュースネットワーク)内で、コンテンツを相互に活用する取り組みがあり、そこでも動画は不可欠なものとなっています。

新聞社だからこそ作り出せる動画は何なのか?

BC土屋 現在でも動画という新しいフォーマットに対応する事に抵抗のあるトラディショナルな紙媒体、企業も少なくないと思いますが、朝日新聞社が業界の中でも先行して動画に取り組まれているイメージが強くあります。何か理由があるのでしょうか?

AS瀬戸口氏 社風として『新しいことに挑戦することは良いこと』という雰囲気があります。いままで取り組んでいない、面白いことに挑戦することを良しとしていますね。

おそらく1926年に航空部門を設立した昔からだと思いますが、おもしろそうなことに積極的にトライしていく社風だと思います。ブン屋はミーハーな人が多いですし、最後の最後はノリで決める人が多い気がします。

4Gから5Gと、動画があまりにも一般的になるなかで、我々にとっては動画に取り組まないという選択肢はありませんでした。会社の方針として『紙とデジタルの融合』が至上命題になっています。デジタルトランスフォーメーションしていくなかで、動画は中心の1つです。新聞社だからこそ作り出せる動画は何なのか?を考え、実践しながら模索しています。

その他にも、朝日新聞社では高校野球や将棋・囲碁の名人戦、全日本吹奏楽コンクールといったリアルイベントをいくつも主催しています。これらイベントの価値を最大化するのにも動画は有効です。例えば、Live配信を実施することでユーザーに喜んで頂きつつ、マネタイズを実現することが可能です。

どのようにデジタル上で動画を利用して展開すれば効果的か

BC土屋 朝日新聞社において、動画を利用した企画・立案の意思決定はどのようになされるのでしょうか?

AS瀬戸口氏 ボトムアップ型で企画・立案されます。例えば、何かの取材やイベントを実施することが予定されている場合、どのようにデジタル上で動画を利用して展開すれば効果的かを提案します。我々の部門のみならず、関係各署に『動画を利用することでどのようなメリットがあるのか』を丁寧に説明することは心がけています。

BC土屋 浅田真央 ラストダンスを当時リアルタイムで拝見し、本当に感動しました。次世代のプレミアムデジタルコンテンツの1つの形だと。また、このレベルのコンテンツを演技終了後24時間で公開をする制作・運用チームが朝日新聞社にあった事も正直驚きでした。このコンテンツは、2012年にニューヨーク・タイムズがSnow Fall(同年にWeb上でマルチメディアを駆使した事例としてピュリッツァー賞を受賞した)という長編の特集記事に影響を受けたと聞いています。このような企画もボトムアップなのでしょうか?

AS瀬戸口氏 そうですね。しかし、担当記者は基本的によりよい紙面作りに全力投球します。リッチなデジタルコンテンツ制作にまで手が回らないことが多いです。そこに我々の部門の企画ディレクターが登場します。例えば、「浅田真央さんであれば、このようなデジタル展開ができる...」と気付くことができるスポーツ専門のディレクターがいて、彼を中心に要員を集めて企画をしていくという流れです。また、クリエイティブチームという、Webデザイナーや、プログラマーなどのエンジニアが近くにいますので、即座に連携できることが大きいですね。記者とエンジニアが連携することで生まれたコンテンツだと思います。

BC土屋 社内にそのようなリソースがあるのは朝日新聞社の強みですね。

AS瀬戸口氏 そうですね。しかし私個人の考えですが、今まではライバルは新聞社と考えてきましたが、テレビ局、ネットメディアからフリーの方まで今やそういう時代ではないと考えています。

前編は以上になります。後編は、新聞社において、新しい企画に取り組むためのスキルセットや、今後の展望についてお話頂きます。


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