SVODビジネスの

最適化

ストリーミング戦争が過熱する中、SVODサービスは加入者生涯価値を重視し、視聴者のライフサイクルのあらゆるフェーズを最適化する必要があります。このモジュールでは、当社のSVODのお客様の中でも商業的に最も成功を収めているお客様の経験から、加入者の獲得、エンゲージメント、リテンション、取り戻しに実績のあるデータ主導型戦略を紹介します。

各チャプターのご案内

加入者をより効率的に獲得する

加入者のエンゲージメントでロイヤルティを構築する

加入者リテンションのためにチャーン対策する

失った加入者を取り戻す

SVODの成功を実現する

1.

加入者をより効率的に獲得する

持続可能なSVODストリーミングサービスの構築は、スマートでコスト効率の高い加入者の獲得から始まります。そしてそれは、可能な限り多くの高価値加入者をターゲットにし、コンバージョンさせることを意味します。

ここでは、より戦略的で収益性の高い方法で加入者ベースを拡大する4つの機会を紹介します。

ルックアライクキャンペーンを実施する

検索サイトやソーシャルメディアサイトでのルックアライクキャンペーンを利用して、最重要加入者に類似した見込み客をターゲットにします。この戦略では、加入者生涯価値とサービスに対する満足度に基づいて、最適な加入者を特定する能力が必要です。

最も魅力的なコンテンツをアピールする

サービスに登録しようとする人が最初に見るものは、視聴者の目を惹くタイトルです。そのため、それらは新規加入者へのマーケティングに最適です。また、最初に視聴されたコンテンツに関する情報を、ライセンスや制作投資の指針とすることもできます。

コンバージョン率を向上させる

適切なデータを使用することで、加入者獲得活動の効果を確認し、高めることができます。例えば、デバイス別や紹介元別のコンバージョン率分析により、最大の費用対効果をもたらすチャネルにマーケティング費用を振り向けることができます。

サインアップをシンプルにする

視聴者が加入を決めた際に、可能な限り簡単かつ円滑に購入できるようにします。チェックアウト時のステップ数を最小限に抑え、複数の支払い方法と通貨をサポートすることで、契約を獲得できる可能性が高くなります。

注目の知見：
SVODビジネスの健全性を測定する

SVODの成功は、加入者ライフサイクル全体でデータを活用することにかかっています。統合されたオーディエンス分析により、加入者の獲得、エンゲージメント、長期的なロイヤルティを向上させる戦略を考案できます。

また、パフォーマンス指標を業界のベンチマークと比較したり、新しいコンテンツの追加、新しいサブスクリプション価格帯の導入、ダイレクトマーケティングキャンペーンの実施などの節目となるイベントに対する効果を追跡することで、実用的な知見を得ることもできます。

重要な指標

加入者生涯価値（SLV）
顧客獲得コスト（CAC）
ユーザーあたりの平均収益（ARPU）
獲得加入者数
喪失加入者数
新規トライアル数
トライアルコンバージョン率

2.

加入者のエンゲージメントでロイヤルティを構築する

あなたの獲得努力は報われました。次は、新規加入者を忠実なファンに変える番です。加入者をリピーターにする魅力的な体験を提供するための実証済みアプローチをいくつか示します。


コンテンツを紹介する	キュレーションされた再生リスト、スクロール可能なカルーセル、スマートにタグ付けされた動画で、加入者が新しいコンテンツを見つけられるようにします。アテンションインデックスのデータを使用して、加入者生涯価値を高めることがわかっているタイトルをアピールします。
コンテンツのリリースをずらす	一度に大量配信して飽きられてしまわないように、コンテンツ配信の間隔を開けます。加入者は定期的に視聴する気になり、新番組の人気に弾みがつく時間的余裕ができます。
放送レベルの品質で体験を提供する	バッファリングの繰り返し、フリーズ、その他のストリーミングの問題が、視聴者のロイヤルティを低下させる可能性があります。Quality of Experience（QoE）指標を監視することで、パフォーマンスの問題を常に把握できます。
ライブイベントを活用する	スポーツやエンターテイメントなどのライブイベント番組の追加を検討します。ライブイベントは視聴予約を促進し、近日開催のゲームやコンサートは加入者に視聴を続ける理由を与えます。
リニアチャネルを追加する	リニアチャネルのリーンバック体験でVODサービスを補完します。この戦略では、視聴スタイル、コンテンツへの関心、価格感度の異なる加入者を獲得できます。

注目の知見：
加入者がコンテンツをどのように評価しているかを測定する

加入者の注意を引くものを理解することで、コンテンツ投資を最大限に活かすことができます。Brightcoveのコンテンツ効果測定であるアテンションインデックスとサービスシェアを使用すると、次のことが可能になります。

マーケティング、トライアル、アプリ内レコメンデーションでアピールすべきコンテンツを特定する
コンテンツとサービスに対する加入者エンゲージメントを高める
コンテンツのライセンスと制作について、より多くの情報に基づいて決定を行う

重要な指標

アテンションインデックス

動画の75%以上を視聴した視聴者の割合から、25%未満しか視聴しなかった視聴者の割合を引いた値。スコアの範囲は-100～100です。人気があり、よく視聴されている番組は、一般に50を超えるスコアを獲得しています。

サービスシェア

サービス全体の視聴回数に対する、特定コンテンツアセットの動画視聴回数の割合。サービスシェアは、サービスに対するニールセン評価と同様の機能です。

3.

加入者リテンションのためにチャーン対策する

あらゆるSVODビジネスにとって、チャーンに対する積極的な戦略は重要です。チャーンは、新規加入者の獲得における収益と費用の損失に加えて、基本的には漏れのあるバケツを満たそうとする行為であるため、将来の成長に逆効果です。

チャーン率を抑えるにはどうすればよいか？

チャーンを未然に防ぐ

どのような加入者でも、エンゲージメントレベルが危険なほど低下すると、「安全」から「危険」に変わる可能性があります。視聴アクティビティに関する実用的なデータがあれば、どの加入者が離脱しそうかを予測し、維持するための先手を打つことができます。

リエンゲージメントをパーソナライズする

加入者の視聴履歴に基づいてマーケティングメッセージを作成します。どのような新作、関連タイトル、隠れた名作が加入者にリエンゲージメントを促すでしょうか。また、アイドルユーザーと非アクティブユーザーを区別することも有効です。

アウトリーチを自動化する

ストリーミングプラットフォームとマーテックシステムの統合を活用して、リエンゲージメントキャンペーンを自動化します。チャーンのリスクのある加入者はアプリやサイトを利用する可能性が低いため、メールやSMSメッセージが最も効果的です。

さまざまなリエンゲージメント戦略

	アイドルユーザー	非アクティブユーザー

対象者	過去4週間には視聴経験がなく、過去8週間には少なくとも1回の視聴経験がある加入者	過去12週間には視聴経験がなく、過去1年間には少なくとも1回の視聴経験がある加入者
重要な理由	自主的なチャーンのリスクが最大	長期加入による高い生涯価値
考えられるシナリオ	コンテンツへの当初の興味が薄れた	サブスクリプションのキャンセルを忘れた可能性
できること	プラットフォームの幅広い価値を紹介するパーソナライズされたコンテンツお勧め機能で、高頻度のリエンゲージメントキャンペーンを実施します。完全にリエンゲージメントされるまで、1週間に1回リーチします。	興味を持たれそうな新しいコンテンツが配信されたら、ウィンバックキャンペーンに追加します。アウトリーチの頻度を少なくすると、キャンセルを誘発する可能性が最小限に抑えられます。

	アイドルユーザー

対象者	過去4週間には視聴経験がなく、過去8週間には少なくとも1回の視聴経験がある加入者
重要な理由	自主的なチャーンのリスクが最大
考えられるシナリオ	コンテンツへの当初の興味が薄れた
できること	プラットフォームの幅広い価値を紹介するパーソナライズされたコンテンツお勧め機能で、高頻度のリエンゲージメントキャンペーンを実施します。完全にリエンゲージメントされるまで、1週間に1回リーチします。

	非アクティブユーザー

対象者	過去12週間には視聴経験がなく、過去1年間には少なくとも1回の視聴経験がある加入者
重要な理由	長期加入による高い生涯価値
考えられるシナリオ	サブスクリプションのキャンセルを忘れた可能性
できること	興味を持たれそうな新しいコンテンツが配信されたら、ウィンバックキャンペーンに追加します。アウトリーチの頻度を少なくすると、キャンセルを誘発する可能性が最小限に抑えられます。

4.

失った加入者を取り戻す

強力なリテンション戦略を採用しても、チャーンは発生します。しかし、この基本的なフレームワークを採用すれば、失った加入者を呼び戻し、毎月の成長率を数ポイント上げることができます。

加入者が更新しない理由を特定します。例えば、クレジットカードの有効期限切れのような不本意なチャーンか。それとも、価格、パフォーマンス、コンテンツの問題による自発的なものか。

ウィンバックキャンペーンを自動化します。リエンゲージメントの効率性と適時性を向上させるために、メールやSMSメッセージを定期的に自動送信します。

失った加入者を意味を持つグループにセグメント分けします。チャーンの理由やタイミング、コンテンツのエンゲージメント、サービスに対する離脱前の満足度などの要因を考慮します。

失った加入者が再加入しやすくします。アカウントと支払い手段を有効なままにしておくと、サービスへの復帰を可能な限り合理化できます。

ターゲットを絞ったウィンバックキャンペーンを作成します。失った加入者の特定セグメントにアピールするためのメッセージやオファーを考案します（以下の表の例を参照してください）。

ウィンバックキャンペーンの効果を追跡します。これにより、失った加入者のどのセグメントを優先し、いつ損切りするかを判断できます。

取り戻したい加入者像...	アピールする内容...

頻繁にチャーンする人	年間サブスクリプション
エンゲージメントが高かった人	最も視聴されている番組やジャンルに類似したコンテンツのリリースまたは獲得
価格が理由でキャンセルした人	より低価格のサブスクリプションティア、またはHDコンテンツへの期間限定アクセスなどのバリュー志向のオファー
パフォーマンスの問題でキャンセルした人	アプリの更新、または新しいデバイスやプラットフォームでのサービス提供

5.

SVODの成功を実現する

メディア企業は、視聴者ライフサイクルのあらゆるフェーズを最適化することで、成功するSVODビジネスを構築できます。成長軌道を描く際には、獲得効率を高め、エンゲージメントを深め、チャーンを減らし、失った加入者を取り戻す機会を探してください。

テクノロジーも重要な考慮事項です。放送グレードのストリーミングプラットフォームは、オンデマンド、ライブ、リニアのいずれにおいても、意思決定のための豊富な知見、柔軟なサブスクリプションパッケージ、優れた加入者体験のパーソナライズを提供します。エンドツーエンドの戦略と信頼できるストリーミングソリューションを組み合わせることで、成長と加入者生涯価値を促進できるのです。