FacebookとGoogleに全面依存することのリスク

FacebookとGoogleに全面依存することのリスク

Google と Facebook による市場独占の状況下で、広告収入で成り立つパブリッシャーやブロードキャスターは収益増加に苦戦しています。GoogleとFacebookだけで、 2016年第3四半期のデジタル広告成長29億ドルの約99%を独占していたのです。 多くのパブリッシャーが「倒せないなら従え」アプローチをとって、FacebookやYouTubeのアグリゲーション・プラットフォームで動画再生回数を稼ぎ、あわよくば動画広告の増加分の分け前を得ようとするのは当然のことと言えるでしょう。しかし多くの専門家は、動画の配信をFacebookとGoogle/YouTubeにのみ依存してしまうことは勝利への戦略ではなく、最終的には収益化の面でもブランドの面でも自滅的な計画であると考えています。

収益化に悪影響
FacebookやYouTubeなどのプラットフォームを経由したパブリッシングに全面的に頼っているプレミアム・パブリッシャーは、広告主にとってはお金を出してでも買いたいユーザー・データの生成の面で損をしてしまいます。対照的に、このようなアプローチはいくつかの理由でYouTubeやFacebookのようなアグリゲーターに得をさせることになります。アグリゲーターは自分のサイトを(ほとんどの場合無料で)プレミアム・パブリッシャーのコンテンツで満たし、さらに広告主にとって自分の価値を上げることができるユーザー・データへのアクセスも手に入れています。これがパブリッシャーにとって有利な取引ではないことはすぐにわかります。文字通り、オンラインでのパブリッシングのコストの一部を回収するために、自分のコンテンツもオーディエンスのデータも無償で与えてしまっているのです。パブリッシャーは自社コンテンツとユーザー・データを囲い込み、自社が保有し運営するサイトでメディアバイヤーとの間で最高額の交渉をする方がずっと得です。エクスペディアやトヨタといった企業のためにメディアバイイングを行っている担当者が、ユーザーが製品やサービス、場所についてのより深い内容のレビューを読むためにパブリッシャーのサイトに何回再訪問しているかといったデータを好まないわけがありません。このようなデータは、意志を示す有用な指標でありメディアバイヤーにとっては非常に価値のあるものです。
 

さらにパブリッシャーが直接販売している広告枠もGoogleやFacebookにより、ネガティブな影響を受けています。そのうち、ダイレクトセールスの取り組みも、Google/Facebookへの全面依存アプローチによって妥協を余儀なくされることになるでしょう。

GoogleやFacebookのアルゴリズムに基づくプログラム的な広告セールを通して、同じコンテンツとユーザーに安価にアクセスできるとしたら、メディアバイヤーがローカルのパブリッシャーのダイレクト・セールスチームとコンタクトして、広告枠を買う理由があるでしょうか?

最新レポートを読めば一目瞭然ですが、 一部ソーシャルメディア・プラットフォームでCPMが増加する傾向にあり、これがソーシャルメディアの利益の増加にはつながっていますが、パートナーのパブリッシャーの利益は増えていないことが示されています。

ブランドにとって悪影響
GoogleやFacebookはオンラインコンテンツの「大箱」店舗のようなもので、プラットフォーム上では多彩なコンテンツが利用可能ですが、それらすべてがプレミアム・パブリッシャーのようにジャーナリズムに専念しているわけでも、ジャーナリズムの水準を保っているわけではありません。FacebookやGoogleのみに依存する戦略をとるパブリッシャーは、怪しげで品質の劣るコンテンツと同列に並べられてしまうことによって、自社コンテンツの価値を下げるリスクを冒すことになります。GoogleやYouTubeで広告が不愉快なコンテンツの隣に表示されることへの懸念から大量のオンライン広告が取り下げられたことで明らかになった 広告主の反発 の事例を思い出してみてください。Google は自社の広告ネットワークで不適切なコンテンツに対するアクションを取っていると回答しましたが、それでもパブリッシャーのGoogleが決めたルールでゲームを続けなければならないことに変わりはありません。突き詰めれば、パブリッシャーが何十年もかけて築いたブランドの価値が浸食されているにもかかわらず、決定権をもっているのはパブリッシャーではなくGoogle だということです。

結論
自社が所有し運営するウェブサイトを維持していくにはコストがかかるものの、収益化のコントロールやブランド価値をシリコンバレーの巨大企業に譲り渡してしまうコストに比べれば、前者のリスクは色あせて見えるでしょう。

パブリッシャーの未来は、どの「壁に囲まれた庭」で自らのビジネスを構築していくか、もっと正確に言えば、誰のために土地を耕し収穫をする者になるかに大きく左右されるのです。