BtoBマーケティングをオンラインで実現。 ビジネスイベント「PLAZMA」を主催するトレジャーデータの動画活用事例

企業の法人向けマーケティングは、コロナ禍を通してオンラインでの活動に大きくシフトしました。Zoomなどによる商談が普通になり、展示会もオンラインとオフラインのハイブリッド開催が増えています。この傾向は今後もあまり変わらないでしょう。
オンラインでの顧客や見込み客とのコミュニケーション手段として、動画はとても有力な方法です。代表的な活用例としては、オンラインイベントの開催や、オウンドメディアでの動画配信があります。
では、どうやってオンラインイベントを運営すれば、見込み顧客(リード)の獲得につなげられるのでしょうか?
また、制作した動画コンテンツを効果的にオウンドメディアで活用するためには、どうしたらよいのでしょうか?
オンラインでのイベント開催で、多くのリードを獲得
ビジネス向けのオンラインイベントにおいて、国内のトップシーンを走り続けてきたのが、トレジャーデータ株式会社が主催する「PLAZMA」です。コロナ禍以前の2018年2月にスタートし、2020年以降はオンラインで定期的に開催されています。
PLAZMAは、各界のオピニオンリーダーやテクノロジーパートナーが登壇し、DX(デジタルトランスフォーメーション)推進などをテーマとしたセッションが複数行われるイベントです。2020年7月には台湾のIT担当大臣オードリー・タン氏が出演したことでも話題を集めました。
新型コロナウイルスの感染が急拡大を始めた2020年2月に開催された「PLAZMA 2020 KANDA」では、急遽ライブ配信を実施しました。当時、イベントには1,300名程度の事前申込みがあり、想定来場者数は600〜700名程度を見込んでいたそうです。しかし、ライブ配信を行ったことで、会場への来場者は2日間で約400名、オンライン視聴者数は両日共に約850名を記録しました。つまり、事前申し込みの90%、および想定来場者数の200%を超える 方々へコンテンツを提供できたことになります。
それ以前からPLAZMAでは、会場でのセッションの様子を収録し、オウンドメディアに動画を掲載していました。録画撮影を行ってきた実績と、動画配信プラットフォームを掛け合わせることで、短い準備期間でも大きな成果を得ることができたのです。
PLAZMAはどのように制作・運営されているのでしょうか?
トレジャーデータのマーケティングマネージャー小林広紀氏は、次のように話します。
「トレジャーデータでは、オウンドメディア、FacebookやTwitter、YouTubeなど様々なチャネルで情報発信を行っています。どんなコンテンツをどのように届けるのが一番いいのか、常にチームで検討しています。イベントの開催は、コンテンツを届ける手段のひとつです。
ライブ配信を行う際には、Brightcove Liveのシステムを利用していました。最近はリアルタイムでのライブ配信ではなく、事前に収録した動画を予約再生する方法を取っています。これまでのPLAZMAでは、3週間連続開催や24時間配信など、様々なチャレンジを実施してきました。ブライトコーブの動画配信プラットフォームは多様な配信方法が可能で、私たちが試したいと考えた取り組みにもスムーズに対応できました。
私たちトレジャーデータは、顧客の行動データなどを統合・分析し、顧客体験の向上やビジネス変革をもたらすCDP(カスタマーデータプラットフォーム)というソリューションを 提供しています。ですから、自分たちのマーケティング活動においても当然、データを活用しています。オンライン開催したPLAZMAの視聴データを緻密に分析するためには、Brightcove Campaign とTreasure Data CDPを連携し、ダッシュボードで視聴動向を把握しています。」(小林氏)
効果的なリードナーチャリングにはデータ活用が肝要
イベントへの参加申込数の歩留まりは、オンライン開催によって大幅に向上したそうです。会場へ足を運ぶことは難しくても、オンラインならば参加できるという方が多いのでしょう。その一方で、詳しい情報を知りたい方とのアポイントや商談へつなげるのが難しいことは、オンライン開催における課題となっています。コロナ禍の状況をみながら、ハイブリッドでの開催も探っていると小林氏は話します。
オンライン・オフラインでの開催を問わず、マーケティングイベントにおいて重要なのはリード獲得後のアフターフォローです。マーケティング部門の主な活動目的は、社内の営業部門に有望な見込み顧客(ホットリード)を渡すことにあります。
トレジャーデータでは、イベント開催を通して獲得したリードに対し、どのようなアフターフォローをしているのでしょうか。
「PLAZMAへの参加者やオウンドメディアの購読者は、トップファネルリードと捉えています。私たちの商品への認知はあり、自社の課題をさらに浮き彫りにしていく段階であるという位置 づけです。視聴データや閲覧データをもとに、『この動画を観た方には、次はこの資料を読んでいただきたい』『この資料をダウンロードした方には、この動画も観ていただきたい』といったシナリオに沿ったリードナーチャリングを行っています。
視聴者が動画を全部視聴しているのか、それとも途中で視聴を中断しているのか、まったく視聴していないのかは、重要な情報です。視聴していない方にはあらためて視聴を促すメールをお送りしたり、全部観ていただいた方には別のコンテンツをお届けしたりと出し分けています。
リードの興味関心の状況を把握することは、オンラインマーケティングでは特に大切です。視聴データを細かく把握できるのは、ブライトコーブのシステムを利用するメリットだと感じています。」(小林氏)
コンテンツの視聴状況を分析することは、次のコンテンツ制作の改善にもつながります。ただし、視聴数が多いことや離脱率が低い動画が、MQL(マーケティング上の指標)の高い動画になるとは必ずしも限りません。どんなコンテンツが自社にとって効果的なのか、複合的に分析する必要があると小林氏は指摘しました。
イベントでの動画をオウンドメディアに再活用
先述の通り、トレジャーデータは以前から、オウンドメディアへ動画コンテンツを掲載してきました。記事や動画を閲覧するためにはメールアドレスでの登録が必要なサイト設計になっており、どんなユーザーがどのコンテンツを見ているのかわかる仕組みです。
「オウンドメディアでは、過去の登壇動画やさまざまな関連記事を配信しています。そもそもDXやCDPとはどういうものかといった入門記事も多く用意していて、そうしたコンテンツから興味を持たれた方にイベントやウェビナーに参加いただくことで、さらに当社サービスへの理解が深まります。オウンドメディアと、イベントやウェビナーのシナジー効果が期待できるのです。」(小林氏)
現在のトレジャーデータは、イベントとしての開催規模はコンパクトにしながら、継続的なウェビナー開催を実施しています。
「いろいろなことを試してきましたが、『これが正解だ』といったことはいえません。大切なのはデータを取得して分析し、自社に適したやり方を探索し続けることです。」(小林氏)