動画広告の“マトリョーシカ”問題:解決のためにできる5つの対策
私は最近、オーストラリアで最大規模の利用者数を持つサイトの問題のあるインベントリーの調査をしていました。このサイトではページに設置された実際の動画プレーヤーの再生コントロールをオーバーライドするために、ネストしたプレーヤーを使用していました。ユーザーがプレーヤーの音を消したり、止めたりできる唯一の方法はブラウザーかタブを閉じることです。
エンドユーザーにとってもサイトオーナーにとっても非常に面倒であるという明らかな問題に加え、このようなことがサイトやネットワークで許可されているという事実そのものが、私たちの業界に潜むもっと大きな問題を指し示すものとなっています。
深掘りしていくと、広告ユニットの デジタル動画広告掲出テンプレート(VAST) ラッパーが多すぎる上に、普通は2つしかないはずのインプレッション トラッカーが11もありました。このようなレイヤーはビューアビリティの計測値にはマイナスに作用しますし、ユーザー体験の悪化や遅延、あるいは広告がまったく表示されないなどの深刻な悪影響につながります。
さらに悪いことに、動画キャンペーンの完了率の誤りが増加します。
なぜこのようなことになるのでしょうか。
- メインの広告タグ:ネストしたクリエイティブやインプレッション トラッカーを参照するVAST XMLラッパーを含んでいる
- 二次的VAST XML:ネストしたクリエイティブやクリエイティブ ラッパーを参照するVAST XMLラッパーを含んでいる。ほとんどの直接的キャンペーン クリエイティブはここで完成する。
- 三次的VAST XML:通常、上の二次的VASTタグからSSPにより参照される。DSPと疑わしいVPAIDクリエイティブへの参照が含まれる。
- VPAIDメディア:ビューアビリティ計測値やユーザートラッキングを支援するためのJavaScriptとその他の機能を含む。
- 実際のクリエイティブ ファイル:この広告クリエイティブ メディアは、実際のクリエイティブ メディア ファイルをサービスするため、DSPのソースサーバーまたは他のVASTラッパーによりサービスされる。メディアファイルはたいていMP4である。
氷山の一角
新たなビューアビリティの計測手法が出てくるまで、ベンダーはVPAID(Video Player Ad-Serving Interface Definition)を介して測定するしかありません。しかしVPAIDというのは、その他のより厳重な動画広告取り込みのVAST手法よりも寛容であるため乱用されやすい欠点があります。これは特にVPAIDタグをJavaScriptで書くことが可能であるために、工夫の余地があるのと同時に悪用もできてしまうのです。
VPAIDをネットワークに含めた結果、インタラクティブな動画広告ユニットやネストした動画プレーヤーが動画広告コンテンツの中に表示されることも珍しいことではありませんが、これは業界全体にとっては最悪です。簡単にいえば、ビューアビリティを図るための解析の実装方法は、あらゆるものを壊してしまっているのです。
そろそろ動画広告の“マトリョーシカ”ハックをやめるときに来ています。クリーンな広告こそが、カスタマーの経験をよりよいものにし、レーティングの向上につながります。ですから、できる限り広告機会を作り出し、それを最大限活用することよりも重要なことはないのです。ではどうしたらよいのでしょうか。
動画インベントリーを区別する:ダイレクトでプログラム的なOTTテレビ、ビデオ オンデマンド(VOD)、ライブストリーミング、デスクトップ、モバイルウェブには、それぞれの弱点と強みに合わせて動画を区別します。
よいSSPに力を与える:評判のよいサプライサイド プラットフォーム(SSP)には、広告の質を維持するために投資する価値があります。SSPはサイトやネットワークで利用可能なファイルタイプについてのルールの策定に役立つサービスを提供することも可能です。
デバイスに特定のメディアタイプを強制する:ネスト化されたハックを提供するアプリやサイトを管理し、エンドユーザーにどの広告メディアを提供するかのルールを定義しましょう。
VPAIDを使わない:SSPのルールを策定し、プログラム可能なギャランティード キャンペーンを実施し、ネスト化されたプレーヤーを保持せず、ピクセル トラッキングや保証のないトラッキングを行っていないことを確認します。
Ad-Opにツールを提供し、教育しましょう:Ad-Opチームに、動画広告タグの中から見るだけでそれとわかる不良なコード、タグ、ラッパー、ピクセルなどを見つける方法を教えましょう。デバ ッグ コンソールのようなツールを用意し、貴重なリソースを追加しましょう。
これからすべきこと
上で挙げたコツはクライアントサイド広告挿入に適用できるものですが、これに加え、Brightcoveの Server-Side Ad Insertion は多くの広告管理上の課題解決はもちろん、それ以上のことを可能にします。当社のテクノロジーは、広告の品質と広告ブロッカーの問題を一挙に軽減することができます。私たちは、プラットフォームやデバイス、ネットワーク、あるいは潜在的なハードルにかかわらず、あらゆるデバイス上で、プレミアムでテレビのようなエクスペリエンスを提供しながら、お客様がオーディエンスにリーチし、収益化するお手伝いをすることができます。
この“マトリョーシカ”問題は、今の動画業界に巣食っている多くの問題の1つにしかすぎません。ブライトコーブはこれからも動画広告の品質と管理という重要問題の解決に真正面から取り組んでいきます。
本記事は、ヘッダービディング、VASTタグ調査、遅延などの重要課題から抜け出すための方法を論じるシリーズの第1回目です。次回をお楽しみに。