コンテンツと集中:童話が愛され続ける理由
今回から 5 回にわたって、ブランド カスタマの間で最も頻繁に話題に上るトピックであるデジタル マーケティングについて、シリーズで紹介していき ます。お楽しみに!
『ハフィントン ポスト』でシェアされていた「What Brands can Learn about Content Marketing from Disney(ディズニーからコンテンツ マーケティングを学べるのはどのブランドか)」という記事を最近目にし、巧妙なタイトル(記事自体も)だな、と感心しました。記事を書いた Genevieve Walker と Amanda Fayer も言うとおり、ディズニーは「究極の」ストーリーテラーです。ディズニーが進めるコンテンツ マーケティング戦略に対する有益な分析について読みながら、まず私が頭に思い描いたのは、ディズニーが紡ぎだす夢と感動の物語はなぜ設立当初から今日に至るまでの長い間、愛され続けているのかということでした。加えて、ディズニーの物語のもとになった童話についても思いを巡らせ始めました。ウォルト・ディズニーの鋭い見識と洞察力のおかげでもあるとはいえ、数百年の後に大ヒット映画と巨大エンターテイメント企業を生み出す元となったグリム兄弟、そして彼らが 18 世紀に手がけた「童話」のキュレーションとは、どのようなものだったのでしょう?
話を進めますね。
コンテンツ マーケティングの分野で、「ストーリーテリング」がちょっとした流行語になってきたのは、その価値や、おそらく過剰な表現までもが世の中に認められるようになってきたからです。ストーリーテリングのベースとなっているのは、いつも親近感です。童話にもその根幹には、子どもや若い大人が親しみを感じ、学ぶことのできる変わることのない共通のテーマがあると私 は考えています。
例えば次のようなテーマです。
- シンデレラ: 長きにわたる成功と幸せを導く内なる美しさ
- 白雪姫: 破滅をもたらす自己愛
- ラプンツェル: くじけることのない人間の精神
では、これらはコンテンツ マーケティングとどのような関係があるのでしょう?
童話がオーディエンスにあわせて少しずつ形を変えながらも、何世代にもわたり受け継がれてきたのにはちゃんと訳があります。私たちはみな楽しさを求めつつ、共感できるメッセージやテーマ、時には教訓に惹きつけられているのです。これは、日々の生活やビジネスにおいても同じでしょう。ストーリーテリングがブランド構築とセールスの双方に不可欠な要素なのです。童話が世代を超えて愛されてきたのとまったく同じような成功を、コンテンツ マーケティングも収めることができるのです。その理由はこうです。
コンテンツ マーケティングは共通の課題解決に役立つ
私の経験上、ある問題の解決を模索している時、あるいは積極的に理解を深めたい案件に対する知見を得ようとしている時は、その分野の専門ブランドのコンテンツを探します。例えば、皆さんが B2B 領域での Pinterest の活用法に関する電子書籍を執筆していたら? 私はまず間違いなくダウンロードしているでしょう。あるいは皆さんがソーシャル メディアの分析に関する専門家で、その最新動向やプロセスについて定期的に情報発信していたら? 私はすぐにでも Twitter でフォローしなければなりません。もしくは、皆さんが LinkedIn のグループ マネジメントに関する成功事例を収めた動画を制作したらどうでしょう? ぜひ動画ポータルの URL を送ってくださいとお願いします。
従来のセールスが通用しないこの時代、私たちは企業のセールス担当者からのコンタクトを申し込む前に、自分自身で情報を収集します。そして、あるコンテンツをダウンロードしたら、その企業のデータベースに自分の名前が登録されてしまうことを知りつつも、有益な情報を得られるなら喜んで登録します。そのメリットは、ブログの書き込みを一度ダウンロードやブックマークしたら、自分自身のものにできることです。アップデート版が届くまで、いつでも自分の思考の参考にしたり、成功事例として参照したりできます。加えて、ある特定のトピックに関するコンテンツがクリエイトされていたら、自分と同じ職業か専門分野を持つ人も同じような課題を抱えている可能性が高いといえます。数の強みです。ただし、単にコンテンツにアクセスできるだけでは十分ではありません。楽しく、必要情報が的確に記載されており、私が知らないことを教えてくれるコンテンツを望みます。
「レンタル」メディアに比べて、寿命の長いオウンド メディアが有利
広告には寿命(有効期限)がありますが、コンテンツ マーケティングは永久的に続くというメリットがあります。適切なキーワードを埋め込んだ良質なコンテンツはアップロードされてから長い期間にわたり、継続的に SEO 対策への貢献やサイト閲覧者の拡大、リードの創出をもたらします。繰り返しになりますが、信頼性が高く、オーディエンスが抱える頭痛の種や中核課題の解決に資するコンテンツ(つまりオーディエンスが参考にしたり、共感を抱いたりし やすいコンテンツ)であれば、ある特定の時期や流行と結び付いた広告に比べて、極めて長期にわたり参照されるでしょう。ただ私は、広告には価値がないと言っているのではありません。オンライン広告(動画がお勧め!)とオリジナル コンテンツを組み込んだデジタル マーケティング戦略が、最終的には最大のブランド認知とコンバージョンをもたらすのです。
ストーリーテリングとお客様のビジネス
Content Marketing Institute では、顧客のビジネス全体のなかでコンテンツ マーケティングが担う様々な役割について思索を重ねています。この記事では、「ブランド ヒーロー」のストーリーテリングについて、具体的に紹介しています。著者の Robert Rose 氏は記事の中で、現状維持からイノベータへのブランド進化について詳しく触れており、とても共感できる内容です。企業が強力な称賛されるコンテンツ マーケターへと進化を遂げるための方策について、Rose 氏は次のようにまとめています。
- 現在のマーケットでの立ち位置を正しく把握する
- ブランド力を高め、リーダーとしてのポジションを確立・強化するにあたっての課題を見極める
- 重要でない課題はすべて切り捨てる
- ブランド メッセージを発信する最適なスポークスパーソンを特定する
- 積極的に新たなコミュニケーション チャネルを開拓する
- SWOT 分析 を実施する
- 「最重要な」闘いを定義して果敢 に挑む
- トップ イノベーターとして新たに確立したポジションを維持する(コンテンツ マーケティングがたえず目指すべきもの)
ブランド(ヒーロー)は最初弱者でありながら最終的に勝利を収める、と Rose 氏は分析しています。まるでディズニーのキャラクターのようですね。再度童話のたとえに戻ると、成功するコンテンツ マーケティング プランにはすべて、ストーリーの「始まり」「中盤」「終わり」に加えて、共感できる「格言」が埋め込まれています。
コンテンツに賭けるマーケター達
効果的な骨太のコンテンツ マーケティング戦略の策定には、計り知れないほどの労力を要します。ブランド ストーリーの作成は容易ではありません。異なるオーディエンスすべてに訴求する魅力を持つだけでなく、興味深く、エンゲージメントを高める内容で、かつ最終的には収益に貢献しなければなりません。このような困難な課題にも関わらず、このプロセスを強力に推し進めている企業もあります。データを紹介すると、すでにコンテンツ マーケティングに取り組んでいる B2B 企業は 95% あり、今年コンテンツ マーケティング予算を増額した B2B 企業は 46% に上ります。この予算を承認したマーケターや経営者の方々には、その理由が見えています。彼らは上質なコンテンツがもたらす長期的な価値を理解しているだけでなく、今コンテンツ マーケティングを進めることで、数カ月後、あるいは数年後に大きなプラスになると分かっているのです。
それでは、この長くて少々入り組んだブ ログ記事の「教訓」は何でしょうか?独自のアート フォームであるストーリーテリングが何世紀にもわたって広まってきたのには理由があります。物語性、共感、普遍的なテーマの上に成り立っているからです。メディアの歴史を考えると、ターゲット市場が共感できる有益かつ魅力的な方法で自社ビジネスについて語る価値を企業が理解するのに、こんなにも時間がかかったのは驚くばかりです。今となっては、コンテンツ マーケティングで成功を収める可能性は無限大です。かつて童話でのストーリーテリングがそうであったように、コンテンツ マーケティングが今後長きにわたって多くの実りをもたらすことは間違いありません。