エクスプロラトリアムが日食を世界にライブ配信した方法

169万人が皆既日食の動画を視聴

ニューヨーク・タイムズ紙は、エクスプロラトリアムを20世紀半ばの最も重要な科学博物館のひとつと評したことがあります。ほとんどの博物館が展示物に触れることを禁止しているのに対し、この博物館はその真逆で、体験型のアプローチで展示物を探索することを奨励しているからです。サンフランシスコのエンバカデロ・ウォーターフロントに位置するエクスプロラトリアムは、真にユニークな学習施設の一例として輝いています。

エクスプロラトリアムのすべての教育活動の原動力となっているテーマは、間違いなくイノベーションです。1994年、エクスプロラトリアムはインターネットをいち早く導入し、600ものウェブサイトを開設しました。実際、デジタルメディアはエクスプロラトリアムの重要な焦点となっています。サンフランシスコを拠点とするこの学習ラボは、その場で体験的な学習体験を提供するだけでなく、ライブ配信やオンデマンドビデオを通じて世界中の人々に教材を提供することもできます。ウェブサイトには「サイエンス・スナック」のページもあり、世界中の人々が10ドル以下の材料を使って展示物の小規模版を作ることができます。館内には、観客席を備えた独自のウェブキャスト制作スタジオもあり、エクスプロラトリアムがどのようにウェブ用のビデオコンテンツを制作しているかを見学することができます。

非営利の博物館であるエクスプロラトリアムは、その資金の一部をNASAを含む民間および連邦助成団体から得ています。この特別なパートナーシップのおかげで、エクスプロラトリアムは、ウェブサイトやモバイル アプリを通じて、日食や惑星食をライブ配信するという、これまでで最も注目を集めた教育事業の 1 つを立ち上げることができました。2011 年、同博物館は Brightcove と提携し、同社の動画プラットフォームを導入してコンテンツを配信し、視聴者に動き回る惑星の映像を途切れることなく、比類なく提供しました。

DIY精神がエクスプロラトリアムをデジタル動画への道へ導く

1990年代初頭から、エクスプロラトリアムはデジタルで存在感を示してきました。

当館は Brightcove を使用して、動画をオンラインで何百万人ものユーザーに同時に公開し、Web サイト、モバイル アプリ、および他の Web サイトでの埋め込み配信の共有を通じて、アクセス ポイントを提供しています。

ロブ・ロスファーヴ氏
エクスプロラトリアム オンライン・プロジェクト・ディレクター

「エクスプロラトリアムのオンライン・プロジェクト・ディレクター、ロブ・ロスファーブ氏は言います。「当館は自分たちで展示物を作り、自分たちでデジタル・メディアのストーリーを作ります。ですから、ライブ動画やオンデマンド動画を作成・公開するためのインフラを整備することは、自然な流れだと思います。」

当初、エクスプロラトリウムは独自のストリーミング・メディア・サーバーを運用していたため、ロスファーブと彼のチームは、ライブ映像のストリーミングに最適な技術を見極めるために、厳しい試行錯誤を繰り返しました。初期の試行では、遅延、ドロップアウト、ピクセル化、音声の問題など、いくつかの重要な課題が明らかになりました。しかし、新しい技術が登場するにつれ、エクスプロラトリアムのデジタル動画パブリッシング・チームは、動画配信を管理する上でクラウドベースのサービスがいかに優れているかに気づきました。

「日食のライブ配信のようなものでは、チャンスを逃したくなかったのです。」とロスファーブ氏は述べます。「独自にセットアップしたものでは、スケーリングの問題に直面する可能性があることはわかっていました。」彼らが独自にセットアップしたものには、サードパーティのビデオプレーヤーが含まれており、それらは使用許諾を得ているか、あるいは彼らが運用しているストリーミング・メディア・サーバーの一部として利用可能なものでした。動画パブリッシング インフラストラクチャのスケーラビリティを向上させる必要性を認識した同博物館は、次のステップとして、コンテンツ配信ネットワークを介してクラウド ベースのシステムに移行する必要があると考えました。

ブライトコーブのライブ配信機能は、エクスプロラトリアムの動画イニシアティブの鍵です。

2011 年、エクスプロラトリウムは Brightcove と提携し、オンデマンドおよびライブ配信しました。この選択の決め手について尋ねると、ロスファーブ 氏は、博物館がコンテンツ作成に注力する必要性に触れました。Brightcove のコンテンツ管理ソリューションと動画プレーヤー ソリューションを活用することで、動画配信テクノロジーの細部に煩わされる時間を減らし、コンテンツの作成とユニークな体験の創造により多くの時間を割くことができます。エクスプロラトリウム はブライトコーブに、最新化と先進性を同様に重視し、エクスプロラトリウムのライブ配信の取り組みに必要な新技術を提供できるパートナーを見いだしました。

「Brightcove が我々にとって理にかなっているのは、それが重要な理由です」とロスファーブ氏は言います。「配信のためだけでなく、Web コンテンツの公開の実用性のためでもあります。私たちはそこから多くのものを得ています。」

Brightcove の革新性に加え、ロスファーブ氏は、このプラットフォームの簡単なワークフローと Drupal のコンテンツ管理システムとの統合が、エクスプロラトリウムの動画公開プロセスの合理化に役立っていると述べています。Brightcove の動画プラットフォームを Drupal CMS と統合することで、エクスプロラトリウムのオンライン メディアおよび動画チームは、動画コンテンツ、プレーヤー、番組メタデータを単一のインターフェイスで管理できるようになりました。

「Drupal CMS を Brightcove のプラットフォームに接続することができました。その結果、新しくデザインされた動画ポータル セクションで、動画が Web サイトに表示されるようになりました。」とロスファーブ氏は述べます。

エクスプロラトリウムは、Brightcove のデジタル セキュリティとオンライン プライバシー機能も気に入りました。同博物館は、動画視聴用の Web サイトやモバイル アプリにサードパーティの追跡を課したくありませんでした。Brightcove を使用することで、エクスプロラトリアムはネイティブ プレーヤー内でコンテンツを公開・配信することができ、YouTube のような外部配信プラットフォームが不要になります。こうすることで、視聴者は途切れることなく動画を視聴でき、フィッシング詐欺や悪質な広告主から安全に保護されます。

日食がモバイルアプリのダウンロードと169万ビューを牽引

エクスプロラトリアムは、ライブ配信コンテンツをより多様な視聴者に拡大するため、2016年初めにモバイルアプリ『皆既日食』をデビューさせました。ちょうどその頃、モバイル視聴者はミクロネシアからの皆既日食の独占ライブ配信を視聴していました。このイベントは西半球では広く認知されていなかったが、インドネシア、インド、その他の東アジア地域から膨大な数の視聴者が、すべてモバイルアプリで視聴しました。その週の終わりまでに、「皆既日食」は65,000以上のダウンロードを記録しました。

その後、エクスプロラトリアムはライブ配信からオンデマンドアセットを作成し、動画コンテンツをウェブサイトやソーシャルプラットフォームに配信しました。
エクスプロラトリアムは2017年、天文現象としては最も珍しい皆既日食のライブ配信映像で再び人々を喜ばせました。実際、米国本土で皆既日食が見られたのは1979年が最後です。日食の前に、エクスプロラトリアムのモバイルアプリは40万以上のダウンロードを記録し、その95%は北米からのものでした。ロスファーブ氏によると、イベント当月のアプリダウンロード数は22万8,000件、モバイルでのイベント視聴者数は合計59万1,000人、モバイルとデスクトップでの動画視聴回数は累計169万回を記録しました。

エクスプロラトリアムが教育的探求を続けるための、優れたエンゲージメント指標

動画コンテンツの配信に Brightcove Playerを使用して以来、エクスプロラトリウムはサードパーティ配信の新たな可能性を実現しました。ユーザーは、エクスプロラトリアムの動画コンテンツを自分の Web サイトやブログに簡単に埋め込むことができ、ブランド認知度の向上や視聴者のエンゲージメントの増幅につながりました。さらに、Brightcove プラットフォームはデジタル視聴者に優れた視聴性を提供するため、エクスプロラトリアムのコンテンツは、サードパーティによる公開共有に非常に適しています。

たとえばNASAは、エクスプロラトリアムのライブ・ストリーム・コンテンツを自社のウェブサイトとOTTチャンネル「NASA TV」に直接配信しています。そこからの映像は、ロイターのような通信社に取り上げられることが多く、どちらも膨大な視聴者数を誇っています。

2012 年、エクスプロラトリウムは、珍しい惑星食である金星の通過をライブ配信し、Web サイトの Brightcove Playerを通じて動画を配信しました。Wired と Space.com もこれに乗り、自分たちの Web サイトにPlayerを埋め込み、何万人ものライブ視聴者を追加しました。

最終的に、エクスプロラトリアムの目標は、ストーリーとライブ視聴体験で多様な視聴者にリーチすることです。そのため、ロスファーブ氏は動画のエンゲージメント指標を非常に重視しています。オンライン体験の中核に動画があることで、エクスプロラトリアムは、すべての人に没入型の学習機会を提供するためのスポンサーシップを継続するのに有利な立場にあります。

動画による投資情報を提供する『FINTOS!』が急成長 他部署での動画活用も活発化

新型コロナウイルスの影響で経済環境が変容し、先行きの不透明感が増すなかで、将来に向けた資産形成の重要性が高まっています。資産形成には長期的な視点はもとより、環境の変化に応じたスピーディーな投資判断が欠かせません。

個人投資家やさまざまな企業に向けて資産運用・資金調達などのサービスを提供する野村證券株式会社は、これまで機関投資家へ提供していた、アナリストのリサーチレポートなどさまざまなコンテンツを、個人に向けて提供する方法を模索していました。提供するコンテンツはテキストだけでなく、音声や動画素材もあります。

そこで、投資情報をスマートフォンのアプリで提供するサービス「FINTOS!(フィントス)」をスタート。動画配信もスタートさせ、ユーザー数は前年比300%と大きく成長しています

ブライトコーブを選んだのは「一番いいもの」だったから

動画配信のプラットフォームとしてブライトコーブを選んだのは「一番いいもの」だったからだと、未来共創推進部 那須昭彦氏は語ります。

グローバルレベルでの展開、セキュリティを考えるなら「一番いいもの」を選ばない理由がありません。

野村證券
「プラットフォームを決める際、国内の動画配信大手3~4社とも比較検討しました。たしかに、国内企業からもカスタマイズなど、さまざまな提案をもらっています。しかし、当社はグローバル企業であることから国内のプラットフォームは、他の国や地域で使うことを想定すると使い勝手があまり良くないと感じました。グローバルレベルでの高いセキュリティなど必要な要件を考えたとき、『一番いい』と思えたのは、実績があるブライトコーブです。多少のコストの違いがあったとしても、ブライトコーブを選ばない理由がありませんでした」

制作した動画が営業効率向上にも貢献

実際に動画制作をして配信を始めると、制作者サイドでは次々とアイデアが広がったそうです。

「これまで我々は、セミナー開催時など年に数回しか動画を制作していませんでした。それが、ブライトコーブの導入により、日常的に動画を制作・配信できる環境が手に入れることができました。『こんなものを作ってみたい』『このテキストを動画にしたらどうなるんだろう』など、企画のアイデアがさまざまに広がっています。また、ユーザー側からも『文字を読むより動画のほうがわかりやすい』という反響もいただきました」

他の部署からも動画配信について相談を受けることも増えたと言います。

「テキストでの記事作成は社内で多くの人が関わっていますが、動画制作はまだまだ珍しい。『動画ってこんなに簡単にできるんだ』『こんなかたちで配信できるんだ』など、さまざまな反響がありました」

そのうちFINTOS!のために作った動画が、他の部署で利用されるようになりました。営業部門でお客様にお渡ししている資料に動画(リンクやQRコード)を付けることで、営業効率がアップした事例もあります。

「我々が制作した投資情報を伝える動画がわかりやすいということで、営業資料にも動画を付けたいという要望が出てきたんです。紙の資料だけで営業トークするとなると、資料に書かれている内容の何倍もの情報を事前に咀嚼しまとめて、持っていく必要があります。ところが、資料に動画が付けていれば、紙の何倍もの情報を伝えられるため、営業準備の工数が削減されるのです」 動画化など資料を改善したことで「準備にかかる時間が20%削減された」と言うアンケート結果もあり、削減された時間で他のお客さんへコンタクトが取れるので、接触件数や約定率も向上したという結果が出ているそうです。

営業資料に動画をつけ営業効率アップ

FINTOSユーザー数推移 前年比300%増
営業の準備にかかる時間の削減率 -30%

他部署でもブライトコーブの利用が活発化している

FINTOS!のために作った動画が他の部署で利用されるだけではなく、自分たちで動画を作る部署も現れました。金融経済教育・金融リテラシーの推進を担当している未来共創推進部の藤崎哲雄氏は次のように語ります。

「学校に出向いて金融のことを教える出張授業を全国で展開しているのですが、部署のメンバー4人だけではさすがに手が足りません。そこで、全国の支店のメンバーが営業エリアの学校の授業を担当できるようにするために、私たちが授業をしている様子を撮影し、その動画を各支店に渡しています。ブライトコーブなら、パスワードを付与して必要な人しか見られないよう設定が可能です」

「また、我々は『はじめての投資シリーズ』という、投資初心者に向けた動画の制作も始めました。すると、ある企業の人事部門の担当から、『その動画を自分の会社の従業員全員に見せたいので、社内のイントラネットに載せられるようにしてもらえないか』とご依頼があったんです。そちらは今話を進めている最中ですが、今度はそれを聞いた営業部門のメンバーが、『自分のお客さんにもその動画をぜひ紹介したい』と言ってくれました。金融経済教育のコンテンツはその性格から、営業メンバーとしてもお客さんにご紹介しやすい。金融リテラシーに対する温度感も高まっている昨今、引き合いは多いようです」

動画制作の動きは社内でさらに広がり、職域ビジネス部門でも動画制作が始まりました。資産形成推進部の北村龍次朗氏は語ります。

「我々はファイナンシャル・ウェルネス・プログラムという、上場企業の従業員に向けて将来的なお金の不安を低減するためのセミナーを提供しています。しかし、ライブのセミナーだと開催当日に都合が合わず、参加できないというケースも多い。そのため、以前から『オンデマンド動画で提供できないか』と言われてはいました。金融経済教育でブライトコーブを利用して動画制作・配信を始めたと聞き、うちでも試してみることにしたのです」

職域ビジネスの動画制作では、ブライトコーブのエンゲージメントスコアの活用で次の提案につなげているそうです。「従来は60分くらいの比較的長尺な動画を作っていましたが、エンゲージメントスコアを見たところ、動画の平均視聴時間がだいたい30分くらいになっていたのです。そういったスコアをもとに、お客様に対して次の提案につなげられるようになりました」

さらに北村氏は、ブライトコーブの強力なセキュリティ機能により、提案や活用の自由度が高まっていると話します。

「ファイナンシャル・ウェルネス・プログラムのセミナー動画は、上場企業の制度に即した情報の提供もしています。しかし、人事系の制度情報はその企業の機密情報でもあります。そのため、『外部から見られないようにしてもらえませんか』というオーダーをいただくことが多いのです」

「その課題を解決するため、ブライトコーブのシステムに視聴者のセキュリティオプションを追加し、接続元のIPを制限できるようにしました。さらにお客様からの信頼を得られるようになり、提案や活用の自由度が高まったと思います。必要に応じてモジュールを柔軟に組み替えられるのも、ブライトコーブの便利な点だと思いますね」

お客様や企業の利便性をふまえて動画活用を推進していきたい

同社では、制作された動画を異なる部署で互いにに利用し合う、共有・共用化も進んでいるそうです。今後の動画活用について、那須氏・藤崎氏・北村氏は次のように語ります。

「FINTOS!で提供する投資情報は『ナマモノ』といえるものなので、事象が起きてから情報提供までのリードタイムをできるだけ短縮したいです。理想的には、今日起きたことを今日、動画として発信できれば、ユーザーの利便性はもっと高まると思っています」(那須氏)

「我々は10代の子どもたちに向けて金融教育を展開しています。彼らは動画尺が3分でも長いと感じる世代。そのため、ショート動画の制作・提供などにもチャレンジしていきます」(藤崎氏)

「職域ビジネスは、企業のそれぞれのニーズに合わせて展開していきたいです。長尺動画や短尺動画をラインナップとしてそろえ、企業に合った動画を選んでもらえるようにラインナップをそろえていきたいと考えています」(北村氏)

アプリ内で求人企業の動画を配信し、就活生の志望度を向上

「人の数だけ、キャリアをつくる。」をミッションに、IT×HR領域でさまざまなサービスを展開する株式会社ワンキャリア。新卒者向けの就 活 サイト「 ONE CAREER 」や 転 職 希 望 者 向 け の 転 職 サイト「ONE CAREER PLUS 」、企 業 の 人 事 向 け の「 ONE CAREER CLOUD」といったサービスを提供しています。

2021年、コロナ禍を機にYouTube Liveに加えて「ONE CAREER」アプリでも、企業説明会などの動画配信サービスをスタート。その配信をBrightcoveが支えています。

短期間かつ最小工数でアプリ内での動画配信を実現

同社が大きな転機を迎えたのは、2020年2月頃のこと。新型コロナウイルスによる緊急事態宣言が発令されたことで外出自粛が求められ、企業の合同説明会など対面型のオフラインイベントが軒並み中止を余儀なくされました。この状況に、就活生や転職希望者だけでなく、企業の人事部も困っていました。そんな状況を打破しようと、同社ではYouTube Liveを使った企業説明会の配信をスタート。

「YouTubeでの動画配信では、どんな属性の方が見ているのかを把握しづらいことや、視聴回数をはじめとしたデータの信頼度がそれほど高くないことを懸念していたこともあり、2020年中には自社アプリ内で動画視聴する体験を作りたいと考えていました。現在もYouTubeでの動画配信も実施していますが、あくまでマーケティング手段としての活用にとどまっています」(多田氏)

Brightcoveを導入したアプリでの動画配信を決定してから わずか2〜3か月で配信を開始できた。 コストを抑えながら開発スピードを上げられるのが 一番の決め手になった。

多田薫平
コンサルティングセールス事業部 イベントプロデューサー 兼 ONE CAREER for Engineer サービス責任者
Brightcoveを導入したのは2021年ですが、AWSを使って自社で構築する方法を検討したり、他社サービスとも比較しましたが、開発の手間やスピード感、ラーニングコストやメンテナンスの工数など総合的に考えてブライトコーブ製品の導入を決めました。

「コロナ禍になって、競合他社もオンラインや動画配信のサービスを展開し始めました。我々も先んじてサービスを展開しなければならないというところで、コストを抑えながら、かつこのスピード感で導入できたのは一番の決め手になったと思います」(多田氏)

「ブライトコーブの製品はかゆいところに手が届く感じがあり、使い方もシンプルで、とにかくわかりやすいですね。導入してから自分たちで開発することがほとんどなかったと言ってもいいくらい。それでもアプリ内での動画配信を決めてから、わずか2〜3か月ほどでサービスローンチまでこぎつけることができました」(山口氏)

Brightcoveを導入して以来、すでに3年ほどが経過していますが、いまだに使い勝手の良さやサポート体制の充実さを実感しているとのこと。

「分からないことなどがあったらブライトコーブの担当営業やテクニカルサポートの方とメールでやり取りさせていただくのですが、とにかくすぐにレスポンスをいただけます。面談でのやり取りやビデオ通話も含めて、サポート体制がすごく充実しているのは、ありがたいと感じることが多いですね」(山口氏)

ONE CAREERクライアントからの実績データ

動画視聴後の志望意欲向上率:95%

学生エントリー数:10%増加

動画を視聴した学生の志望度が大きく変化

Brightcoveで取得できるデータの活用も少しずつ始めており、特に視聴回数や視聴維持率はチェックしているとのこと。求人企業が配信する動画コンテンツについては、ユーザーからの定性的なアンケート結果と取得データを踏まえて企業にフィードバックしているそうです。

「動画を配信してフィードバックを重ねることで『日系大手で古風な社風の企業だと思っていたけれど、フラットにコミュニケーションしていて柔和な会社だと思った』と企業イメージを変えることに成功した例もあります。

一部企業に向けた調査によると、自社アプリの動画を視聴した学生の95%が『その企業への志望度が上がった』と回答しています。また、実際にエントリー数が10%増加したという調査結果も見られました。動画が学生の志望度を向上させるのに一役買っているだけでなく、企業側としても学生が動画視聴したうえでエントリーしたかどうか、次の選考に進んでいるかどうかを把握できるので、より効率的な採用活動ができるようになると思います。もう少しうまくデータを使ってより効果的な動画配信を進めていきたいですね」(多田氏)

学生たちからは、企業研究や動画視聴、説明会や求人へのエントリーといった就職活動のすべてをアプリで完結できる点が高く評価されています。

一方で、採用担当者からは、エンゲージメントデータの提供に加え、就活中の学生に視聴者を限定し、企業情報の開示を制限する仕組みが好評です。

このアプリは、学生と採用担当者の双方に利便性と価値を提供する、優れたツールとなっています。

写真左から、コンサルティングセールス事業部 イベントプロデューサー 兼 ONE CAREER for Engineer サービス責任者 多田薫平氏
技術開発部 シニアエンジニアリングマネージャー 兼 ONE CAREERプロダクトマネージャー 山口拓弥氏

視聴データやオフラインでのかけ合わせで、より効率的な採用活動を実現できるサービスに

今後は、視聴データやオフラインをかけ合わせて、より効果的・効率的な採用活動を支援するサービスを展開していきたいと語ります。

「コロナ禍を経て、就職活動はオンラインとオフラインのハイブリッドで展開されることが増えましたが、まだ、オンラインとオフラインをただミックスしただけで、うまくかけ合わせることができていない印象を持っています。オフラインで接点を持ったユーザーとオンラインで接点を持ったユーザーをどうつなげていくのか、この先の課題にもなってくると思いますし、そのためにもデータをうまく活用していく必要があると考えています」(多田氏)

「今は求人企業の動画を就活生が見られるというだけのプラットフォームですが、今後は、もう少し踏み込んだ形のコンテンツ管理を考えています。志望者の志望度合いや属性にあわせて、どういう動画を配信するか、動画を視聴した学生にどういうメッセージを送信するかなど、学生に対するコミュニケーションを手間なく丁寧にできるシステムを開発していく予定です」(山口氏)

自社開発のアプリ内での動画配信を通じ、求人企業の採用活動を支援するワンキャリア。これからも動画を活用した採用現場の新常識が構築されていくことでしょう。

グローバルに点在する拠点で働く社員との意識共有に 動画を使った社内コミュニケーションメディアを内製

外航海運を専門とする川崎汽船。日本国内だけでなく、世界中の港や船で社員が活躍する会社です。2021年10月から、経営計画を世界中の社員に共有するためのツールとして、社内コミュニケーション用動画メディアを内製しています。

それまでMicrosoft 365で動画を共有していたが2022年12月よりBrightcoveのVideo Cloudを用いたプラットフォームに切り替えた同社。従前は国内の限られたメンバーにしか共有できなかった動画を海外勤務者や社外出向者にまで配信できるようになったそうです。

社内コミュニケーション用動画メディアのプラットフォームとしてBrightcoveを採用

企業の根幹をつかさどる経営企画グループ。会社の方向性を示す経営計画を、社員に正しくかつ効果的に浸透させるために、これまでもさまざまな伝達方法を考えてきました。 「以前から、社長が決算状況や経営計画を事業部ごとに説明するタウンホールミーティングを実施していたのですが、ベースとなる内容を動画にすれば、一度に同じメッセージを全社員に伝えることができる。また過去の動画も見られるし、視聴履歴等々の情報から社員の理解度を図ることもできるのではないかと思っていました」(田村氏)

そんな中、契機となったのが新型コロナウィルス感染症の流行でした。

社員が頻繁にサイトを訪れたくなるように、デザイン性にもこだわりたかった。Video Cloudは動画を掲載するギャラリーが豊富にあり、ブランドカラー等のカスタマイズも可能、簡単に設定できるのが良かったですね。

村上甲氏
経営企画グループ 総合計画チーム
「2019年度末からコロナ禍が始まり、物流が混乱し、業績の見通しが困難になりました。同時に、生活様式や働き方が大きく変わったことで、より一層世の中の動きや、当社を取り巻く外部環境・内部環境を共有し、経営計画を浸透させなければならないという思いを強くしていたのです。 しかし、タウンホールミーティングはコロナで対面実施ができなくなりました。そんなときに上司から『動画を活用してみてはどうか』とアドバイスがあり、2021年5月に経営企画グループとサステナビリティ・環境経営推進・IR・広報グループの協働によって、動画配信プロジェクトを立ち上げたのです」(村上氏)

もともと社内で利用していたシステムにあったアプリケーションを使って、半年で社内向け動画メディア「“K” Line With」を立ち上げたそうです。

「まずは四半期毎の決算及び経営計画の進捗説明動画などをアップしていました。社内情報共有の場として、他部署が作成した動画も配信し、コンテンツは充実していきました。一方で、配信作業をする我々は、動画のアップロードやサイト全体の調整、更新に手間がかかることに課題を感じるようになりました。また、アクセス集中で再生速度が遅くなったり、固まってしまったりといった問題も発生するようになったのです。セキュリティ上の問題から配信先が限定されてしまい、社外出向者や海外現地法人で働く社員へ届けられないのもネックになりました」(村上氏)

デザイン性にこだわってカスタマイズしやすいのが魅力。作業負担も50%削減できた

それらの問題は、Brightcoveの提供するVideo Cloudを利用することでクリアできたと言います。

「当初から社員が頻繁にサイトを訪れたくなるように、デザイン性にもこだわりたかったのですが、内製で行っているため、そこまで手が回らなかったのが現状です。ただ、Video Cloudは動画を掲載するギャラリーが豊富にあって用途にあわせた選択ができるのが良かったですね。例えば、再生ボタン1つをとっても、RGBでカラーが指定できてコーポレートカラーに設定できる。もちろん、グローバル配信できることや、安定した再生環境などの課題もクリアできました」(村上氏)

「Brightcoveの営業担当の方には契約前から、親身にレクチャーしていただいたのも良かったですね。機能的には、サムネイルなどの細かい公開設定なども簡単にできるようになり、設定作業が体感で50%ほど削減できたと思います。作業の属人化も懸念していたのですが、設定が容易になったことで、我々が配置転換になっても後任に楽に引き継げるようにもなりました」(青木氏)

グローバルに点在する拠点で働く社員との意識共有に動画を使った社内コミュニケーションメディアを内製

作業効率アップで完全内製化に成功

配信設定の手間 50%削減
内製チームによる配信頻度 毎週1本以上

決算発表の解説を全世界の社員へ即日配信。

動画配信の効果を社内で認識されるように。

2023年1月からVideo Cloudを活用した動画配信をスタート。海外勤務や海上勤務の社員が多いという川崎汽船ならではの事情がある中、「社内の一体感を醸成するのに役に立つ動画メディアができた」と言います。

「直近では決算発表の解説を即日動画で公開しました。通常の決算発表の業務と並行して、動画の作成業務も行いました。具体的にはシナリオの検討、プロのナレーターへナレーションの依頼、パワーポイント作成、音声と画面の組み合わせ、試写などですね。正味2~3日程度でできたと思います。やはり、決算発表当日の関心度は高く、見られる確率が高くなるので、公開日にこだわっています。決算当日に迅速に公開しなければなりません。内製しているからできるスピード感だと思っています」(青木氏)

「他部署からの動画も投稿したり、世界中を運航する船の上で撮影された動画をアップしたりしています。運航する船からの眺めは陸上勤務者が目にすることはないので、海上と陸上をつなぐことを目的に毎週1回、新しい動画を公開しています。

動画撮影は基本的に社員にお願いしているのですが、他の部署へ無理にお願いしているわけではなく、他部門からプロアクティブに『動画を作ったから載せてほしい』と我々のもとに届くのです。全社的に共有したい事項を動画で掲載すると効果があると社内で認識されつつあるようです」(青木氏)

経営計画のさらなる浸透と社内の課題解決のツールに

本格稼働したばかりである社内向け動画メディア「“K” Line With」。今後もさまざまな展開を検討しているそうです。

「念願だったグローバル配信を開始できました。まずは現在展開しているコンテンツへのリアクションを参考にしながら、経営計画の理解浸透を進め、かつ、他部署が抱える共有したいプロジェクト動画などの掲載も続けていきます。将来的には、企業価値を高められるコンテンツを有した社外向けオウンドメディアも作成できればと思います」(村上氏)

社員をつなぐためのツールとして、従来通りの資料作成だけでなく、動画の内製に踏み出した川崎汽船。深化した理解が、業績へ貢献していく日も遠くなさそうです。

カスタマー・コンタクト:https://www.kline.co.jp/ja/index.html

ベネッセコーポレーションがコストを削減し、効率を倍増させた方法

乳幼児や小中高校生向け通信教育を主事業として展開するベネッセコーポレーション。0歳〜6歳児向け通信教育である「こどもちゃれんじ」では、かねてより動画教材を作成しDVDで顧客へ届けてきましたが、顧客の視聴環境の変化にあわせてオンライン配信のみの提供へと切り替え。顧客のニーズに合ったサービスとして高く評価され、より顧客に支持されるコンテンツを提供することに成功しています。そのシステムをBrightcoveのVideo Cloudが支えています。

Video Cloudが安定的な配信環境とコストダウンを実現

「こどもちゃれんじ」では一番有名なキャラクターの「しまじろう」のアニメや教材の使い方などを映像教材として提供しています。以前から、会員向けのウェブサイトでも一部動画を配信していましたが、映像教材は基本的にDVDで配布していました。しかし、昨今、DVDプレーヤーをお持ちでない会員が増えていることから、「すべてをオンラインで配信する可能性を探り始めた」とこどもちゃれんじエンジニアリング部 こどもちゃれんじエンジニアリング課の久保田大樹氏は言います。

「まずはモバイルアプリでの動画配信が候補に上がりました。保護者の皆様からすればいつでもどこでも視聴できるというメリットがある反面、幼児のお子様がモバイルで視聴するのは画面が小さくて目が悪くなるのではないかという不安があることも予想されます。その点、従来のDVDでは、おうちの大きなテレビ画面での視聴が中心になるため、安心でした」(久保田氏)

もともとウェブサイトで一部動画配信していたときに使用していたサービスでは、テレビ配信までは対応していなかったため、別のサービスの使用を検討することに。数社のサービスを比較検討した結果、テレビデバイスでの視聴のしやすさ、安定的な配信環境が決め手になり、Brightcoveを採用。2023年4月から映像教材をすべてオンライン配信することになりました。

「Brightcoveは動画配信にまつわるサービスをオールインワンで提供してくれることと、既に『こどもちゃれんじ』の動画配信で利用していて、安定的に提供できることもわかっていました。その2点でVideo Cloudをベネッセ内で標準利用していくことにしました。もちろん、DVD配布よりも映像配信の方がコスト面でも優位性があります」(インフラソリューション部インフラ戦略推進課の柴田有輝氏)

「こどもちゃれんじ」は年齢に応じて6コースが設定されており、それぞれに10~20名の編集スタッフが在籍し、映像教材は制作会社の協力を得ながら作っています。

「各コースで毎月10本程度の動画を作成しています。新規の映像教材から、今まで使っていた映像を再編集したもの、メインの教材ではなく補助的な映像などいろいろありますが、すべてをオンライン配信に切り替えたことで以前の倍ぐらいの動画数を提供できるようになっています。また、DVDでは毎月1回の配送時にしかお届けできなかったのですが、例えば毎週土曜日に配信するような企画配信もできるようにもなり、大きなメリットを実感しています」(久保田氏)

モバイルで視聴できるようになり、お客様から高評価を得た

Video Cloudの導入後に最も苦労したのはトランスコードでした。当然ながらデータサイズが大きければ美しい映像の配信ができますが、スマホ視聴であれば容量を圧迫します。データ量を削減しつつ満足する品質を保つにはどう設定すれば良いのかで試行錯誤しました。

「例えば、アニメであれば、コマ送りなので小さいサイズでも比較的問題なく視聴できるのですが、実際に撮影した映像教材の場合、動画ファイルサイズを抑えすぎてしまうと、映像の乱れやコマ落ちみたいなことが発生してしまいます。実際に映像を見ながら、『これはちょっと絞りすぎ』、『これは大きすぎ』と調整していきました」(久保田氏)

そうしてモバイルアプリでも視聴できるようになったことにより、従来想定していた視聴の仕方がなされるようになりました。

「『今までは自宅のTVや車載DVDプレーヤーなどでしか視聴できなかったのが、外出中のレストランや買い物の待ち時間にも動画を見せられて助かる』という声を多くいただいています。また、ご家庭でもDVDだとディスクの入れ替え作業が発生しますが、配信ではそれはなく自動で切り替えられるので保護者様の負担も減りました。さらに無料動画プラットフォームのように意図しない動画へ遷移したり広告を挟んだりすることもないので、安心して見せられると言っていただいていますね」(久保田氏)

視聴データを取得することで隠れたニーズを拾えるように

また、DVD配布時には実現できなかった視聴データを取得できるようになったことで、映像制作にも変化が起きています。

「今までDVDでお届けしているときには、アンケートで定性的な感想しか取得できませんでした。しかし、オンライン配信に切り替えたことで、どの世代のお子様がどういう映像を好んでいるかということがリアルタイムでわかるようになったのです。『しまじろう』を使った動画が人気があることは、感覚的にも、アンケート結果からも分かっていたのですが、実は英語版の映像もよく見られているということが、データを取得したことではじめてわかったのです。そうしたデータを活かした映像制作もできるようになりました」 と話すのは、インフラソリューション部部長の植田省司氏。

「こどもちゃれんじ」以外にも多くの事業を抱えるベネッセコーポレーションでは、他部署でも映像配信を行う場合はすべてBrightcoveのVideo Cloudへと集約する動きが進んでいます。

「『こどもちゃれんじ』はたくさんの映像を配信していますが、それ以外の事業はまだそこまで映像配信を行っていません。そういった使い方をする場合でも当社として一括契約できるため、コストメリットが出やすいのもありがたいです。『こどもちゃれんじ』で安定した配信ができることもわかったので、ベネッセではVideo Cloudを利用して今後もお客様に映像配信を提供していきます」(植田氏)

動画が日本マクドナルドにおける社内コミュニケーションに革命をもたらす

ビデオメッセージは、この規模のコミュニティーへの連絡手段として非常に使い勝手の良いツールです。弊社は、ブライトコーブが店舗での動画視聴に効率的な環境を提供するベストソリューションであると確信しています。

四ツ谷 信之氏
オペレーション&テクノロジー本部 テクノロジーアーキテクチャー&サービスマネジメント 部長

40年間にわたり成長を続け、ファーストフード業界に君臨する日本マクドナルド。その店舗数は現在 3,000近くにのぼります。しかし残念なことに、トレーニングプログラムの開発はそれに遅れを取っていました。最近まで本部はトレーニング情報を小冊子にまとめていたのです。その場合、更新の度に小冊子全体を印刷し直し、日本マクドナルド全店舗に再配布しなければなりません。しかも、従業員は分からないことがある度にバックルームへ行き、小冊子をめくり、答えを見つけなければならないのです。日本語を母国語としない従業員がますます増加し、離職率が 50%を記録する中、全従業員に対する業務およびビジネスマナーのトレーニングを効率的に実行する必要がありました。

iPad でビデオトレーニングを展開し、バックエンドでブライトコーブを使用することにより、日本マクドナルドは多言語の従業員を対象としたトレーニングに革命をもたらしました。革命がもたらされたのはトレーニングだけではありません。今ではCEOからのメッセージやチームビルディングも動画で共有されています。現在では全チームが必要とする最新情報をワンタッチ操作で即座に得ることができます。日本マクドナルドは、ブライトコーブを使用することにより、動画で従業員を活気づけ、メッセージやトレーニングの伝達を加速し、社内コミュニケーションを変革することができたのです。