グローバルに点在する拠点で働く社員との意識共有に 動画を使った社内コミュニケーションメディアを内製

外航海運を専門とする川崎汽船。日本国内だけでなく、世界中の港や船で社員が活躍する会社です。2021年10月から、経営計画を世界中の社員に共有するためのツールとして、社内コミュニケーション用動画メディアを内製しています。

それまでMicrosoft 365で動画を共有していたが2022年12月よりBrightcoveのVideo Cloudを用いたプラットフォームに切り替えた同社。従前は国内の限られたメンバーにしか共有できなかった動画を海外勤務者や社外出向者にまで配信できるようになったそうです。

社内コミュニケーション用動画メディアのプラットフォームとしてBrightcoveを採用

企業の根幹をつかさどる経営企画グループ。会社の方向性を示す経営計画を、社員に正しくかつ効果的に浸透させるために、これまでもさまざまな伝達方法を考えてきました。 「以前から、社長が決算状況や経営計画を事業部ごとに説明するタウンホールミーティングを実施していたのですが、ベースとなる内容を動画にすれば、一度に同じメッセージを全社員に伝えることができる。また過去の動画も見られるし、視聴履歴等々の情報から社員の理解度を図ることもできるのではないかと思っていました」(田村氏)

そんな中、契機となったのが新型コロナウィルス感染症の流行でした。

社員が頻繁にサイトを訪れたくなるように、デザイン性にもこだわりたかった。Video Cloudは動画を掲載するギャラリーが豊富にあり、ブランドカラー等のカスタマイズも可能、簡単に設定できるのが良かったですね。

村上甲氏
経営企画グループ 総合計画チーム
「2019年度末からコロナ禍が始まり、物流が混乱し、業績の見通しが困難になりました。同時に、生活様式や働き方が大きく変わったことで、より一層世の中の動きや、当社を取り巻く外部環境・内部環境を共有し、経営計画を浸透させなければならないという思いを強くしていたのです。 しかし、タウンホールミーティングはコロナで対面実施ができなくなりました。そんなときに上司から『動画を活用してみてはどうか』とアドバイスがあり、2021年5月に経営企画グループとサステナビリティ・環境経営推進・IR・広報グループの協働によって、動画配信プロジェクトを立ち上げたのです」(村上氏)

もともと社内で利用していたシステムにあったアプリケーションを使って、半年で社内向け動画メディア「“K” Line With」を立ち上げたそうです。

「まずは四半期毎の決算及び経営計画の進捗説明動画などをアップしていました。社内情報共有の場として、他部署が作成した動画も配信し、コンテンツは充実していきました。一方で、配信作業をする我々は、動画のアップロードやサイト全体の調整、更新に手間がかかることに課題を感じるようになりました。また、アクセス集中で再生速度が遅くなったり、固まってしまったりといった問題も発生するようになったのです。セキュリティ上の問題から配信先が限定されてしまい、社外出向者や海外現地法人で働く社員へ届けられないのもネックになりました」(村上氏)

デザイン性にこだわってカスタマイズしやすいのが魅力。作業負担も50%削減できた

それらの問題は、Brightcoveの提供するVideo Cloudを利用することでクリアできたと言います。

「当初から社員が頻繁にサイトを訪れたくなるように、デザイン性にもこだわりたかったのですが、内製で行っているため、そこまで手が回らなかったのが現状です。ただ、Video Cloudは動画を掲載するギャラリーが豊富にあって用途にあわせた選択ができるのが良かったですね。例えば、再生ボタン1つをとっても、RGBでカラーが指定できてコーポレートカラーに設定できる。もちろん、グローバル配信できることや、安定した再生環境などの課題もクリアできました」(村上氏)

「Brightcoveの営業担当の方には契約前から、親身にレクチャーしていただいたのも良かったですね。機能的には、サムネイルなどの細かい公開設定なども簡単にできるようになり、設定作業が体感で50%ほど削減できたと思います。作業の属人化も懸念していたのですが、設定が容易になったことで、我々が配置転換になっても後任に楽に引き継げるようにもなりました」(青木氏)

グローバルに点在する拠点で働く社員との意識共有に動画を使った社内コミュニケーションメディアを内製

作業効率アップで完全内製化に成功

配信設定の手間 50%削減
内製チームによる配信頻度 毎週1本以上

決算発表の解説を全世界の社員へ即日配信。

動画配信の効果を社内で認識されるように。

2023年1月からVideo Cloudを活用した動画配信をスタート。海外勤務や海上勤務の社員が多いという川崎汽船ならではの事情がある中、「社内の一体感を醸成するのに役に立つ動画メディアができた」と言います。

「直近では決算発表の解説を即日動画で公開しました。通常の決算発表の業務と並行して、動画の作成業務も行いました。具体的にはシナリオの検討、プロのナレーターへナレーションの依頼、パワーポイント作成、音声と画面の組み合わせ、試写などですね。正味2~3日程度でできたと思います。やはり、決算発表当日の関心度は高く、見られる確率が高くなるので、公開日にこだわっています。決算当日に迅速に公開しなければなりません。内製しているからできるスピード感だと思っています」(青木氏)

「他部署からの動画も投稿したり、世界中を運航する船の上で撮影された動画をアップしたりしています。運航する船からの眺めは陸上勤務者が目にすることはないので、海上と陸上をつなぐことを目的に毎週1回、新しい動画を公開しています。

動画撮影は基本的に社員にお願いしているのですが、他の部署へ無理にお願いしているわけではなく、他部門からプロアクティブに『動画を作ったから載せてほしい』と我々のもとに届くのです。全社的に共有したい事項を動画で掲載すると効果があると社内で認識されつつあるようです」(青木氏)

経営計画のさらなる浸透と社内の課題解決のツールに

本格稼働したばかりである社内向け動画メディア「“K” Line With」。今後もさまざまな展開を検討しているそうです。

「念願だったグローバル配信を開始できました。まずは現在展開しているコンテンツへのリアクションを参考にしながら、経営計画の理解浸透を進め、かつ、他部署が抱える共有したいプロジェクト動画などの掲載も続けていきます。将来的には、企業価値を高められるコンテンツを有した社外向けオウンドメディアも作成できればと思います」(村上氏)

社員をつなぐためのツールとして、従来通りの資料作成だけでなく、動画の内製に踏み出した川崎汽船。深化した理解が、業績へ貢献していく日も遠くなさそうです。

カスタマー・コンタクト:https://www.kline.co.jp/ja/index.html

動画で未フォローリードを削減、インサイドセールスのテレアポ成功率が3倍に

マーケティングや営業推進に関わる担当者であれば、フォローされなくなったリードの活用や、制作リソースの問題に直面しがちであるが、動画マーケティングをうまく導入することで、それらの問題を解決できるということをHENNGEの実践例は教えてくれる。同社は新たなアプローチ手法に着目し、特別な技術や新たな人員の採用なしに、溜まっていく「捨てリード」を減らし、質の高いコンテンツを量産し、リードクオリフィケーションを自動化することに成功した。一体どのように実現したのだろうか。

課題:溜まっていく「捨てリード」、リソース不足

HENNGEはインバウンドによる新規リードの獲得を目指し、様々なデジタルマーケティングの施策を展開している。また、より多くのリードを獲得するため、テレアポなどのアウトバウンド施策も同時に行なっている。集められたリードに対して、営業担当者は速やかに初回訪問のアポを取りつけるが、初回訪問後、案件化する確度が低いとされたリードについてはほとんどフォローされないという状況にあった。製品の特性上、案件化する割合は1割程度となり、実にリードの9割が活用されないまま「捨てリード」として溜まっていく。そのような状況に課題と可能性を感じていた同社が注目したのが、動画コンテンツとMAツールを組み合わせた新たなアプローチ手法であった。

施策1:既存コンテンツの活用

そんな中、注目されたのは、月に数回開催しているセミナーだった。同社クラウドセールス&マーケティングディビジョンの水谷博昭氏は、「録画し、動画コンテンツとして必要最低限の加工をするだけであれば、ホワイトペーパーやウェブコンテンツを作るよりもはるかに簡単にコンテンツの量産が行えるのではないか?というシンプルな発想から案が生まれました。実際、方針が定まってからは少ないリソースでまとまった量のコンテンツをスピーディーに揃えることができました」と語る。セミナー自体が顧客向けに十分に練られた内容になっているため、それらを有効活用することで質の高いコンテンツを量産でき、また、人的資源の問題も同時にクリアできたのだ。

施策2:配信を自動化し、インサイトを蓄積


録画したセミナーのコンテンツライブラリができてきたら、次にHENNGEは適切なオーディエンスに届ける必要があった。動画を配信するプラットフォームを検討する際に、同社ではMAツール「Marketo」と連携できることを前提としていた。また、同社はCRMのために「Salesforce.com」も導入していたため、それらと連携できることも重要視していたという。「ただ動画を配信するだけであれば無料の動画配信プラットフォームでも良いのですが、誰がどれくらい視たかということをトラッキングし、データベースに蓄積をしていくことで、様々な活動を有利に進めていくことができるようになります。それらの実現が可能で、なおかつスピーディーに展開できるようなプラットフォームを探しました」と語る。また、営業全体のリソースを奪い過ぎてしまうと、確度が高い案件のクロージング率に影響が出る。よって、捨てられてしまった9割のリードへの再アプローチについては、専任となるインサイドセールスのチームを新たに立ち上げ、顧客が必要とするタイミングでアプローチできるような仕組みとしてMAツール「Marketo」を導入した。その上で、動画を活用し、各リードのウェブ閲覧履歴だけでなく、今回量産した動画コンテンツについて「誰がどれくらい視聴したか?」という動画の視聴履歴も追っていくことで、数多くのリードの中から、いつ、誰に、どのような会話の切り口でインサイドセールスを行えばよいかを見極めている。同社が特に重視しているのは動画の再生時間だ。一定以上の時間をかけて動画を視聴したリードは、サービスへの関心や購買意欲が高いのではないかという仮説に基づき、提供した動画を50%以上視聴したリードに対して優先的なコールを行うような運用を行なっている。

誰がどれくらい視たかということをトラッキングし、データベースに蓄積をしていくことで、様々な活動を有利に進めていくことができるようになります。

水谷博明氏
HENNGE株式会社 クラウドセールス&マーケティングディビジョン部長

結果:未フォローリード削減、インサイドセールスのテレアポ成功率が3倍に

水谷氏はそのような仕組みを構築した効果について「動画を視聴してくれたリードに対してコールをした場合には、会話のはじめからかなりの割合で良好な感触が得られます。話がはずみ、営業活動としてのハードルが下がる分アポイントも取りやすくなり、それまで5%だったテレアポ成功率は15%にまで上昇しました」と語る。ブライトコーブのVideo Marketing Suite(VMS)導入後に関しては、誰がどのくらい視たかということを視覚化できるようになったこと、UIの操作性が良く動画アップロードの時間や手間がかからないこと、動画の内容別にカテゴリー分けができること、そしてギャラリーページを簡単に作成できることなどが、同社にとっての利用価値であり満足感を得ているという。マーケティングや営業推進に関わる担当者であれば、フォローされなくなったリードの活用や制作リソースの問題に直面しがちであるが、動画マーケティングをうまく導入することで、それらの問題を解決できるということをHENNGEの実践例は教えてくれる。

自叙伝が金融におけるライブストリーミングのパイオニアとなった理由

インターネット金融サービスを動画配信でサポートする直伝。銀行や証券会社などが行うオンラインセミナー配信やIR、株主総会のオンライン配信をトータルで支援しています。そのビジネスの根幹を、Brightcoveが支えています。

金融機関に対してセキュアで安定した視聴環境をサポート

2004年に設立された直伝。規制緩和により、オンライン証券会社が次々と登場した時期でした。

「店舗を持たない金融機関がお客様とのコミュニケーションや信頼関係をどう構築するか。それには、オンラインで顔を見せながらリアルタイムで説明し、お客様から質疑を受けて回答していく仕組みが有効だろうと考えサービスを開発しました。」

「開設当時はまだADSL回線の時代。リアルタイムの動画配信もインターネットエクスプローラーのActiveXで動作する状態でした。秒間3コマの映像フレームでも「リアル」を感じていただける状況でした。 また、ライブならではのその場で質疑応答ができるサービスは他になく、当時登場したほとんどのオンライン証券やFX会社に活用いただいていました」

お客様のことを考慮した提案をしてくださったことも大きかったです。一緒にサービスを作るパートナーとして頼もしいです。

平山雅士氏

株式会社直伝 代表取締役

スタッフの約半数が証券会社や金融機関での勤務経験を持つ直伝では、配信に関わるソフトや接続に関する事項だけでなく、オンラインセミナーの内容や配布資料の内容についてもフルサポートするというコンサルタント的な立ち位置で各社のマーケティングを支援しています。

高速回線が一般化するのに合わせBrightcoveを採用

直伝の基本的なビジネスモデルは創業当初から変わっていませんが、インターネット技術の進歩と環境の整備状況に合わせて、提供する配信技術をアップデートしてきました。

「Brightcoveさんと契約する前は、flashベースでの仕組みで、映像と資料を組み合わせた一般的なウェビナー形式のものを提供していました。しかし、次第にその定型化した伝え方では表現の仕方に限界があることを実感したのです。近年では、セミナーの参加者の視聴環境も良くなり、高画質の動画も当たり前に見る人が圧倒的多数になりました。このままでは「YouTubeできれいな画像が見られるのに、ライブセミナーで配信されるセミナーは映像が見づらい」という話も出てきてしまいかねない。そこで、より高画質で安定的に配信できる環境にスムーズに移行するために、Brightcoveの導入に踏み切ることにしたのです」

オンラインセミナー配信頻度: 毎日配信

社内スタジオ配信とお客様からの編集動画を組み合わせ

再販可能な契約形態でワンストップサービスを提供

「当社のビジネスモデルをよくご理解いただき、当時はまだ珍しかった再販パートナーとしての契約に対応していただきました。また、営業担当の方がAPIの状況や業界特性に合った活用法などを丁寧に教えてくださり、我々のお客様のことを考慮した提案をいただけたことも大きかったです。一緒にサービスを作るパートナーとして信頼できると思いました」

APIにより自社システムと連携。スムーズな配信体制を提供

現在は自社で開発した『Go Stream』内にBrightcoveを埋め込む形で利用されています。

「お客様は『Go Stream』にログインするだけで、Brightcoveのプラットフォームを使った映像が受信できる形になっています。BrightcoveライブのAPIがある程度固まっていたので、直伝の管理システムとの連動、開発がしやすかったのも利点でした。当初はなかったAPIの追加開発もしていただいたのもありがたかったです。ネットやパソコンなどの技術革新に合わせて、お客様へのサービスを滞りなく維持できているという点も大きいですね。」

「以前のVideoCloudライブは開始時間を調整するのが難しくて少し使いにくかったのですが、BrightcoveライブではAPIで合わせられるようになったので、より一層当社のお客様もご利用しやすくなりました。金融機関のお客様が多いため、「セキュアである」という部分が最優先です。また、微細な支障があった時でも細部まで原因を究明していただける点もありがたいです」

安定的な配信の維持と新しい動画の利用方法を検討

客先からの配信だけでなく、社内スタジオでの配信も行っています。毎日のように配信があり、多い時では1日に4~5本配信しているそうです。社内に併設しているスタジオを利用した配信形態だけでなく、お客様が録画したデータを編集して、Brightcoveへアップしてのタグをお渡しするということもあるといいます。

今後の展望についてはどのように考えているのでしょうか。

「今はBrightcoveの機能のおよそ2割程度しか活用できていないので、これからは自動キャプション機能や広告連動といった機能も使っていけたらと思っています。 また、今後VTuberのような存在が金融セミナーをする可能性もあるため、当社としても取り組んでいかなければと考えています。そのためにも、Brightcoveのプラットフォームを活用して、よりお客様に喜んでいただける安定した配信環境を整えていきたいですね」

安定かつ安心できる配信を通じて金融機関のサービスを支える直伝の『Go Stream』。ライブ配信が一般化していく中で、役割が大きくなっていきそうです。

Brightcoveではソリューションのライセンス再販にあたりパートナー プログラムをご用意しています。

競争力強化のカギはインターナルコミュニケーション動画を使ってブランド価値を向上情報伝達を「深化」させる

社員が同じ価値観を共有できる仕組みを強化する

京都市に本社を置く大手電機機器メーカーのオムロンは、日本を含む世界8極に地域統合管理拠点を持つグローバル企業だ。大企業ゆえの社内のコミュニケーションの難しさについて、同社のコミュニケーション活動を統括する執行役員の井垣 勉氏は次のように語る。

「ビジネス拡大に伴い、組織が大規模化していきました。グローバルの各地域統合管理拠点や事業会社、国内各事業部の本社、営業/製造子会社など、多様な組織が連携しながらビジネスを進めるにあたり、浮上したのがインターナルコミュニケーションの問題です。トップのメッセージが各拠点にスムーズに届かなければ、グループ各社の足並みが乱れてしまいます。それを避けるため、情報伝達の仕組みの見直しを、重要な経営課題として取り組んできました」

キーワードは「ブランド」である。オムロンというブランドの価値は何かを全社員が正しく理解しなければ、その魅力を顧客やパートナーに伝えることはできない。社員のブランド理解を促進するには、グローバル全社員を巻き込んだコミュニケーション改革が不可欠だと同社は考えた。

もちろん、オムロンはこれまでもインターナルコミュニケーションの改善に取り組んできた。具体的には、紙の社内報やイントラネット上のテキストコンテンツなどを用いて、情報を積極的に発信してきたのである。

社内外とのコラボレーションやオープンイノベーションを加速するための武器として、Video Cloudを活用していきたいですね。

井垣 勉氏
オムロン株式会社 執行役員 グローバルインベスター&ブランドコミュニケーション本部長

「ただ、経営トップと世界中の社員が、それだけで思いを1つにすることは困難でした。お客様に直に接する現場の社員に、より深く、タイムリーにメッセージを伝える新たな仕組みを模索していました」(井垣氏)

動画を使うことで見る人のエモーショナルな部分に訴える

そこで同社が注目したのが「動画」である。オムロンは現在、インターナルコミュニケーションのツールとして、ブライトコーブの Video Cloudをを利用している。クラウド上に動画コンテンツをアップロードすることで、セキュアな動画配信を実現。マルチデバイス対応のため、社員手持ちのPCやスマートデバイスで、いつ・どこにいても動画を閲覧することが可能だ。

動画のメリットとして井垣氏は「コンテンツの魅力を高められること」を挙げる。「文字や写真などの静的コンテンツでも、誰が何を話しているかは伝えられます。しかし、動画ならそこにエモーショナル(感情的)な要素を加えることができます。発声の強弱や表情、仕草、BGMなどを含め、見る人の心に訴えるコンテンツを配信できるのです」(井垣氏)。微妙なニュアンスが伝えやすいため、ブランド価値という形のないものの理解を促進する上で有効だと考えたという。

数あるサービスの中でなぜVideo Cloudを選んだのか。実はオムロンは従来、衛星放送の仕組みを使って動画配信を行っていた。ただ、その場合はインフラを自前で持つ必要があり、相応の管理コストが必要だった上、海外拠点は接続不可能だったため、都度DVDに録画して郵送していたという。

「クラウドサービスなら自社でインフラを持たずに機能をサービスとして利用できます。さらに、国内外に関係なく情報を迅速に発信できる点、ライブ配信/オンデマンド閲覧の両方に対応している点などを評価して採用しました」と井垣氏は述べる。

さらに、Video Cloudを使い始めて新たにできるようになったことの1つが、動画の視聴状況の分析だ。全体のアクセス数や、どの部分が視聴されているかといったことを細かく分析できるため、結果を次のコンテンツ制作に生かせるようになっている。

「例えば、現場の社員が登場したほうが再生数は伸びたり、シーンを切り替えるタイミングの調整によって離脱防止が図れたりすることが分かり、効果的なコンテンツ制作に生かすことができています」と井垣氏は紹介する。

社内外をシームレスにつなぐ情報伝達プラットフォームへ

現在は、世界中の拠点に向けて日・英・中の3言語でトップのメッセージを定期的に配信している。また、現在の中期経営計画がスタートした2017年度から2年間、計画の内容理解を深めてもらうためのシリーズ動画も配信した。さらに、同社は創業記念日を「企業理念に立ち返り、あらためて、その精神に思いをはせる日」と位置付けてイベントを実施しているが、その模様もライブ配信したという。テキスト中心だったころより、イントラネットのアクセス数は大きく伸びている。

「また、Video Cloudを採用したもう1つの目的に、インターナルとエクスターナル(社外向け)のコミュニケーション統合化というものがあります。今後はそれに向けた動きも加速していきたい」と井垣氏は言う。

ビジネスに必要なテクノロジーやノウハウが多様化する現在、市場が求める製品・サービスを1社で提供することは難しくなっています。複数のパートナーと連携して研究や開発を進める手法が一般化しつつありますが、これによって、戦略方針を共有すべき対象が外部企業にまで広がっているのです。

「社内外とのコラボレーションやオープンイノベーションを加速するための武器として、Video Cloudを活用していきたいですね」と井垣氏は話す。

インターナルコミュニケーションの改革により、さらなるブランド価値の向上を狙うオムロン。クラウドサービスを活用した同社のアプローチは、多くの企業にとって重要なヒントとなるだろう。