前回のVideo Addict(https://www.brightcove.com/ja/resources/blog/video-addict-vol1-ntv-1)では、川越氏がキャッチアップ(見逃し)配信の黎明期について語った。現在はキャッチアップ配信の担当からは外れている。現在の仕事と取り組みについて語った。
川越 五郎
日本テレビ放送網株式会社
ICT戦略本部 データ戦略部 部長
IT企業での開発・設計・管理業務を経て、2013年10月に日本テレビ放送網株式会社に入社。入社後は、日テレフリーやTVerなどの広告付き無料配信の開発・技術管理、グループの配信インフラ構築に携わる。その後、2018年10月にデータ戦略本部を立ち上げ、全社的なデータ活用を推進中。
## データですべてを簡単に
**ブライトコーブの土屋(以下、BC)**さんが現在担当されている仕事について簡単に教えてください。
**日本テレビ川越アナウンサー(以下、川越アナ) 私はデータ戦略局という部署に所属しています。簡単に言うとDMPの活用です。キャッチコピーの配信ログみたいなものを集めたり、キャッチコピーのアンケートから属性情報を得たりして、そのデータを使ってターゲティングなどをやっています。AVODに直接携わっているわけではありませんが、自分が扱っているデータでAVODを支えているという実感はあります。
**土屋BC** データを集め始めて、何か面白い気付きはありましたか?
**正直なところ、データ戦略室ができる前は、データなんて持っていなかった。保存すらしていなかった。
**土屋***BC***分析方法を知らなかったのに、何も蓄えていなかったということですね。
**日テレ川越** 正直なところ、ブライトコーブから抽出できるデータしかなかった。データを集め始めてから9ヶ月くらいで、来年からは分析に力を入れていこうというところです。私の会社には「データですべてを簡単にする」というビジョンがあります。
**土屋BC、かっこいいですね!
**日テレ川越**で、頑張るしかない...(笑)
**BC土屋**(笑)
## 物事を簡単にする」とはどういうことか?
**日本テレビ川越アナウンサー。分解すれば、番組や広告の価値を伝えやすくするということだと思います。第一に、番組や広告の価値を証明することで、売上を伸ばす機会を営業に提供すること。次に、データをいつでも簡単に見られる環境を提供することで、社内改善のサイクルを判断しやすくすることです。働き方改革」というと大げさですが、どちらかというと仕事の効率化の話です。つい最近までは、ブライトコーブの数字をエクセルにコピペして、みんなで頑張っていました。
**働き方改革」という言葉は、会社を巻き込むためのテクニックのひとつです(笑)。実際、DMPは社内で作っているのですか?
**トレジャーデータを使い、Tableauを使ってデータを分析しています。キャッチアップサービスの情報を毎日フィードしていますし、どの広告代理店が売れているのかがダッシュボードでわかるようになっているので、意思決定がしやすくなっています。APIでデータを取得し、Treasure Dataに保存し、Tableauで可視化するところまで、すべて自分たちで行っています。データの可視化はできたので、次は分析を考えています。
**BC土屋** データといえば、キャッチアップサービスを開始した当初は、現在の視聴率に悪影響を及ぼすのではないかと心配する声が多かった。このような反応は、キャッチアップサービス開始前後で変わりましたか?
**日本テレビ川越いい方向に変わりました。ここでは具体的なことは言えませんが、これまでテレビを見ていなかった新しい視聴者をインターネット放送に呼び込むことができたと感じています。また、オンデマンド放送ではありませんでしたが、今年の箱根駅伝の生中継は視聴率もよく、ネット経由の視聴数も多かったので、ネット放送との相乗効果で成功したのかもしれません。
**土屋BC興味深いデータですね!実現は難しいかもしれませんが、今後のプランについてお聞かせください。
**日本テレビ 川越氏** うーん...難しい質問ですね。先ほどの "楽 "はVODだけでなく、ライブや同時配信でも見られると思うので、テレビの視聴データも含めて、その辺りの整理が当面の目標だと思います。今までは視聴率だけを見ていればよかったのですが、外部の広告会社さんのデータやメーカーさんのデータなど、いろいろなデータが出てきて、コンテンツの価値を伝えるのが難しくなってきているので、データで楽をしようということです。
**土屋** なるほど。日本では、物事を簡単にすることは、お金儲けと同じくらい悪いことだと思われがちなようですが、エンジニアにとっては、物事を簡単にすることが基本的に仕事です。
## なぜ "楽になる "という言葉を選んだのですか?
**日テレ川越 **あまりカッコいい理由はないのですが、「楽」という言葉は、商品価値、広告価値、経営判断、業務改善など、仕事全般に通じる言葉だと思いましたし、社内の人にもわかりやすい言葉だと思ったので、「楽」にしました。
**BC土屋** 「淡々とやる」っていい言葉だなと思いました。川越さんの考え方や仕事ぶりを見ていて、すごく共感する部分があったので、お話を聞いて改めて感動しました。
**日本テレビの川越さん(笑)。
**土屋BC、ありがとうございました!
映像配信におけるデータ分析の最前線や、新たなチャレンジについて貴重な情報をいただきました。データで何でも簡単に」の続報も取材したいところですが、今回はここまで。次回のビデオアディクトは、テレビ東京の段野さんです。どうぞお楽しみに!
-
インタビューを終えて
BC土屋
今回お話を伺って、テレビ番組などのプレミアムコンテンツに携われることは、とてもエキサイティングなことだと実感しました。これまでベンダーの立場で様々なサービスの構築に携わってきましたが、コンテンツを強く利用し、期待を寄せているユーザーがたくさんいることを目の当たりにすると、とても嬉しくなります。とてもやりがいのある仕事、環境だと感じています。