編集者注:「ブライトコーブに聞く」という新しい動画シリーズをスタートするにあたって、これまでのブログに目を通し、刷新すべきコンテンツがないかどうかを確認してきました。今回は、2014年12月19日にPaul Casinelliが投稿した「5 Quick Wins to Jumpstart Your Video Marketing Strategy(動画マーケティング戦略を強化する5つのポイント)」の内容を見直しました。ここ2年で動画をめぐる状況は大きく変化しています!Dana Fugateはこのトピックを独自の観点から考察し、動画マーケティングの初心者向けに貴重なアドバイスをしてくれます。
動画に取り組むマーケターにとって、一番の悩みは「どこから始めるか」ではないでしょうか。それなら「今いるところから始める」のがおすすめです。手持ちのマーケティング手段の中でもとりわけ効果的なツールとして、動画を既存の戦略に生かしましょう。例えば、既に優れたナーチャリング・キャンペーンを展開している場合は、いくつかの電子メールに動画を追加します。見込み客向けにFacebookの広告を展開しているなら、テキストベースの広告を動画広告に切り替えてみましょう。ただし、最初のうちは、動画を利用すれば効果がアップするコンテンツかどうかをよく見極めた上で切り替えてください。
1. 動画の整理がカギ
バックエンドの整理-社内を安心させる
まずは、整理することが重要です。そうすれば、マーケティングキャンペーンの立ち上げが楽に思えるだけでなく、動画の利用が増えても成功を続けるための確かな基盤が整います。Ciscoによれば、2019年までにインターネットトラフィックの80%超が動画になるそうですから、動画ライブラリーは今後も増え続けるに違いありません。今は動画がわずか2件しかない、あるいは引き継いだコレクションが1つだけしかなくても、いったん立ち上げれば指数関数的に増えていくでしょう。
-
動画を探し出し、既存の動画資産を把握する
自社のWeb担当チームに声をかけ、マーケティング/セールス/カスタマーサクセス/人事の各チームと連携しましょう。自社名と「動画」のキーワードで検索した結果も確認します。Webの彼方に存在するコンテンツに驚くことも少なくありません。できれば、既存コンテンツを有効活用してください。 -
タグ付けする
ただし、全てをごちゃ混ぜに保管するのは避け、自社の既存分類に合わせて動画も分類します。タグ付けや分類に共通言語を使用すれば、利用したい動画コンテンツを社内で簡単に探せるようになり、どんなキャンペーンやプログラムでも参照できるようになります。 -
賢くファイリングする
ニーズに合わせて正しいオンライン動画プラットフォーム(OVP)を選ぶというテーマだけで1件の投稿が書けますが、今回のトピックについて言えるのは、動画のライブラリーが現在の10倍、20倍、100倍の規模になれば、自社のコンテンツを探せるよう整理したくなるということです。私はある大企業で動画戦略を、別の大企業では動画マーケティングを担当したことがあります。両社は相当量の動画ライブラリーを保有していましたが、フォルダを備えたプラットフォームで増え続けるライブラリーを整理できたことが安心材料になりました。Googleドライブは整理してくれません。
フロントエンドの整理-視聴者に喜んでもらう
動画を社内向けにきちんと整理できたら、今度は視聴者向けに整理しましょう。誰にも探せないようなコンテンツにリソースや予算を費やしても意味がありません。自社の動画を見つけやすいようにするだけでなく、視聴者のために整理しておきましょう。これにはさまざまな方法があります。
-
プレイリストを用意する
特定のテーマに関する動画コレクションや一連の動画コンテンツがあれば、プレイリストが役立ちます。旅行業界の Overseas Adventure Travel という顧客は、プレイリストを上手に活用しています。プレイリストのプレーヤーにはベトナムの概要を説明する動画に加えて、旅程や探検、ガイドの案内に関する動画を盛り込み、旅と旅行者の体験を詳しくご紹介。旅行を検討している人が求める情報がもれなくそろっています。
-
スマートプレイリストを作成する
特定のトピックに関するコンテンツを絶えずアップデートしておく常設サイトには、スマートプレイリストがおすすめです。動画を一元管理するには、特定のタグを1つ、または複数含むコンテンツをすべて取り込んだプレイリストを作成することができます(そのためにタグ付けは必須なのです)。例えば、B2Cソリューションのページを持っている会社なら、「B2C」と「製品ソリューション」のタグが両方付いた動画をプレイリストにまとめることが可能です。こうして手軽に作成しておけば、新しいコンテンツが自動的にプレイリストに加わるため、ページが陳腐化することもなく、コンテンツを常時モニタリング・更新する必要もありません。 -
視聴者が夢中になれる動画ギャラリーを作成する
当社の Video Marketing Academy では、コンテンツマーケティング・インスティテュートのジョー・ピュリッジが動画とコンテンツのマーケティングについて語りながら、こう考察しています。「インパクトを与えるには、メディア企業が何年、何十年も行ってきたこと――つまり、一貫性のある貴重なコンテンツ体験の演出――を実現する必要があります。長期間にわたってストーリーを語り、オーディエンスを確保しましょう」。このアドバイスに従えば、オーディエンスのために膨大な動画シリーズを制作することになります。これらを一元管理し、動画ギャラリーにまとめれば、没入型のブランド体験を演出し、エピソードをオンラインコンテンツとしてストリーミングすることができます。こうした動画は自社サイトに置き、自社ブランドのイメージに合わせ、検索できるようにしておきましょう。また、既存のキャンペーンに動画ギャラリーを活用したい場合は、CTAをどこにどう追加するかを検討します。動画ごとにCTAを追加するのは素晴らしいアイディアですし、動画コレクションには総合的なCTAが必要になることもあります。動画で語った長いストーリーの次段階を反映するには、コンテンツに即したページレベルのCTAも検討しましょう。 -
例えば、デトロイト交響楽団はプッシュ型サブスクリプションの一環として動画ギャラリーを活用し、寄付してくれた視聴者には同楽団の演奏をオンライン動画でご覧いただけるようにしました。同プログラムを開発したのは、資金難が原因で数年前のシーズン早々に活動を休止した後でしたが、このサブスクリプションのおかげで資金が集まり、同楽団はそれ以来常時活動できるようになりました。
2. 電子メールキャンペーンに動画を取り入れる
整理ができたら、さっそく既存のマーケティング戦略に動画を取り入れましょう。マーケターも認めるように、電子メールは今でも非常に効果的ですが、動画を活用すれば、よりいっそう効果がアップします。複数の研究によれば、動画によって開封率が19%、CTRが65%も増加し、登録解除者が26%も減少するなど、電子メールの主な指標が向上しているそうです。そこで、知っておくべきポイントがいくつかあります。
-
電子メールの件名に「動画」という言葉を入れること
そうすれば、開封率が伸びます。 -
動画を電子メールに埋め込まないこと
ほとんどの顧客はこれを好みません。 -
訴求力のあるサムネイル画像を選ぶこと
関心を引き、クリックスルー率を向上させましょう。
出典:How to Include Video in Email Campaigns(電子メールキャンペーンに動画を取り入れる方法)
3. ランディングページに動画を活用する
ランディングページに動画を活用すれば、ユーザーエクスペリエンスを強化し、マーケターの仕事を効率化することができます。前述したように、動画を取り入れた電子メールキャンペーンを展開しているなら、次の3ステップで動画をさらに活用して、読者のエンゲージメントを向上し、没入感を高めましょう。
-
ランディングページの目立つところに動画を配置する
電子メールで動画を紹介したら、動画中心のランディングページを演出しましょう。 -
自動再生を利用する
この場合、電子メールからランディングページへシームレスに移行するため、動画を自動再生して、視聴者に自分が正しい場所にいることを知らせます。 -
混乱を避け、CTAを強調する
目的を明確にし、次のステップを訪問者にとって簡単なものにしなければなりません。コピーを簡潔にまとめ、動画で大局的なイメージを伝えることで、視聴者がランディングページに留まり、他の所をクリックしないようにします。目的がトライアルの申し込みであれ、購買であれ、CTAへの誘導であれ、動画内部のフォームを活用しましょう。
出典:Video Marketing and Landing Pages: Lead Generation Gold(動画マーケティングとランディングページ:リードジェネレーションの黄金律)
正しく構築すれば、動画を取り入れて最適化したランディングページのリードコンバージョン率は、最適化されていないランディングページの4倍にのぼります。
4. 動画でリードを集客する
マーケティング部門では「ゲートを設けるかどうか」について終わりなき戦いが繰り広げられていますが、リードジェネレーションを抜きにして、経営幹部がマーケティングプラクティスの真価を認めることなどあるのでしょうか?動画のゲーティング(コンテンツをリードフォームの後ろに配置すること)は、動画マーケティングの初心者でも楽勝です。オンライン動画プラットフォーム(OVP)に組み込んだリードフォームをマーケティングオートメーションとCRMのプラットフォームに連動させれば、動画がもっと役に立ちます。連絡先情報の提供を求めるのも当然だと思えるほど訴求力のある動画コンテンツがあれば、ゲーティングを試してみましょう。
動画を活用すれば、「何か」(この場合は連絡先情報)を求める前に、コンテンツをどの程度提供したいかを選ぶ機会があります。言い換えれば、動画の冒頭、中盤、または終盤でゲートを設けることができるわけです。ゲートの先で解明できる最高のストーリーを用意しておけば、中盤のゲートは非常に効果的です。一方で、視聴者が求めているコンテンツを作成できたかどうかを判断するには、終盤のゲートがおすすめ。動画を最後まで見た後に連絡先情報を提供してくれる視聴者は、リードスコアリングモデルの上位に位置づけてよいでしょう。
5. 動画に対話性を持たせる
マーケターは虚空に話しかけることがどんなに空しいかを知っています。私たちは皆、オーディエンスとの効果的な対話を追求しており、インタラクティブ動画はこのフィードバックループを実現する上で最速かつ最も効果的な方法です。動画で情報を収集しながら、クイズや分岐型のストーリー、ホットスポット、評価、計算などを取り入れて視聴者が知りたいことを伝えましょう。動画内のアポイントメントスケジューリングも視聴者をコントロールする方法の一つであり、需要創出やセールスを担当するチームに好まれます。
動画初心者でも、構築しやすいインタラクティブオプションを棚上げにする理由にはなりません。何しろ、インタラクティブ動画ユーザーの70%は、インタラクティブ動画がオーディエンスのエンゲージメントをかなり向上すると述べているのです。それでは、インタラクティブ動画を手軽に始めるにはどんな方法があるでしょうか?まずは、既存の動画に対話性を持たせてリフレッシュしてみましょう。
-
長い動画の場合は?
視聴者が興味のあるセクションを探しやすいよう、チャプターを追加しましょう。チャプターの視聴データも今後の動画のテーマを企画する上で役立ちます。 -
視聴者向けに次の具体的なステップを用意していますか?
カスタマージャーニーに、次のロジカルコンテンツをダウンロードするCTAを追加しましょう。対話性は自社リソース間の架け橋になります。 -
オファーに時間的な制約がありますか?
イベントに合わせて動画を検討しましょう。イベントの宣伝になる動画を制作しながら、オンサイトで1対1のミーティング予定を立てたり、コンテストにエントリーしたりする機能を提供します。この3つのオファーはどれもブースへの訪問者を増やし、うまくいけばコンバージョンを促進します。
これで、動画を活用する5つの方法をご覧いただきました!まずは、バックエンドとフロントエンドの整理に力を入れましょう。最高マーケティング責任者(CMO)の「動画を活用しろ!」という号令にすぐ応えることはできませんが、いずれ社内のあらゆるメンバーから感謝されるはずです。このプロジェクトに取り組むにあたっては、有効活用できる既存の動画を見つけてキャンペーンに加え、電子メールとランディングページの組み合わせに取り入れます。あるいは、各種チャンネルやテストコンテンツを試行する代わりに、既存の動画を選んで対話性を持たせ、テスト動画のパフォーマンスに与える影響を評価します。動画戦略について尋ねる人々に私が何度も語ってきたように、大事なのは動画を次々に制作してホームページ上にどんどん投稿することではありません。現行のマーケティングプロジェクトに動画をもっと役立てることなのです。繰り返しになりますが「今いるところから始めましょう」。