UKTV Play: VODブランドがユーザー認証データをマイニング

2017年初め、オンデマンド動画ブランド UKTV Playの成功を陰で支えた社内デジタルチームがユーザーデータを収集し活用する一連のプロジェクトに着手しました。当初の中心的な要件は、ユーザーに対してターゲットを絞った広告を行うため、新しいユーザーセグメンテーションの方法を開発することでした。以前は、デジタル広告のターゲティングは、インタレストグループ(広告を一緒に表示するテレビ番組やチャンネルによって簡単に決定可能)で部分的に実施されていました。しかしこれを世帯の社会階層や家族構成に紐づけたセグメントに変更していくことになったため、より多くのデータが必要になったのです。

最重要でもあった第一歩は、ウェブ、モバイル、テレビ用の全アプリに共通するシングル・サインオン・システムの導入でした。これにより、どのデバイスで視聴していてもユーザーを特定することが可能になり、それぞれのユーザーを分析、個人化するために利用パターンを収集することも出来るようになりました。チームがデザイン面で焦点を当てていたのは、最良のテレビ画面用アプリを開発することでした。これは最も難しい課題であり、またウェブやモバイルと比較してユーザーにとってもなじみのないものだからでした。

UKTVは、デザイン段階で特に次の4つの側面に注力しました。

  • ユーザー:具体的に言えば、UKTVのテレビアプリのどれかにアクセスする可能性がある非常に幅広い層のユーザーです。UKTVでは、ほかの画面タイプを使用しているユーザーよりも年齢層が高くテクノロジーにあまり詳しくない人が一部混ざっているのではないかと予想しました。これは、誰でもテレビを観ますが、誰もがタブレットやノートPCを使用するわけではないからです。

  • デバイス: インタラクティブTVサービスは、多種多様なデバイスを通して様々な場所からアクセスされる可能性があります。スマートTVからメディアストリーマー、セットトップボックスまで、それぞれ全く違った機能性を持っており、またユーザーのデバイスとの関わり方もそれぞれ異なります。したがって、ひとつのデザインがすべてのデバイス上で問題なく機能し、分かりやすいことが重要だったのです。

  • ユーザーの期待: 無料のオンデマンドサービスをTVから会員登録するというのは、ユーザーにとってあまり経験のないことであることはわかっていました。ですから、番組表から観たい番組を選択すると登録スクリーンが表示されるように設定するにあたり、できるだけユーザーを驚かせないように、シンプルで効果的なメッセージを作成するようにしました。

  • 実用性への配慮:別のデバイスで行ってもらう登録完了のプロセスから、テレビのリモコンを使って行ってもらう複雑なフォームの入力まで、ユーザビリティには私たちが作成していたアプリの画面デザイン以外の部分も影響することがわかりました。

ユーザーテストでは、UKTVのリアルなオーディエンス層と同じような一般の人々にプロトタイプを試してもらおうと考えました。そこで、ロンドンとシェフィールドで、若い人々はもちろんのこと、従来型のテレビの視聴者である年配層も集めて、3つのルート案で登録フォームの入力を試してもらいました。その結果は素晴らしいものでしたが、テストの際には混乱や誤解も見られました。

プロトタイプのうちの1つでは、登録フォームへの入力をすべてテレビの画面上で行うようになっていました。デザインを見てわかるように、これは非常に面倒で長い時間がかかるプロセスに感じられるものでした。ユーザーの中には「次へ(Next)」と「前へ(Previous)」のボタンに混乱し、これらが右と左の矢印ボタンとどう違うのか理解できない人が出てきました。また、「戻る(Back)」ボタンがさらなる混乱を引き起こす可能性があることが分かりました。あるユーザーは「スペース」ボタンに描かれたアイコンの意味が分からず、また別のユーザーは「ABC」ボタン(キーボードの表示を大文字に切り替えるボタン)の意味が分からず、多くのユーザーはボタンのカラーコントラストが見えにくいといいました。

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別のプロトタイプは、ユーザーがPCやモバイルデバイスで登録してからアクティベーション・コードを入力する方法でした。正しいコードは視聴者のTVデバイスとアカウントを紐づけされ、選んだ動画が自動で再生されました。この方法では、TV上で入力をする必要がなくなったため、はるかに好評でした。しかし、いくつかのデザイン上の問題が浮上しました。ユーザーの中には、表示されるウェブアドレスにwwwがなかったためURLであることを認識できず、リモコンでこれをクリックしようとする人もいました。また、別のデバイスを使う必要があるということを理解できず、アクティベーション・コードをテレビに打ち込もうとするユーザーもいました。あるユーザーは、「私にどんなメリットがありますか?(What‘s in it for me?)」という宣伝コピーを読んで、書かれていることは自分に必要がないと判断して登録を飛ばしてしまいました。

このテストの結果を見て、当たり前のことを見逃していたことで自分を責めたり、あるいはテストの参加者を「気難しい」と否定したくなったりするかもしれませんが、そういった反応はあまり役に立ちません。デザインチームにとって、あらゆるタイプのユーザーやシチュエーションを想定することはとても難しいのです。重要なのは、学び、繰り返すことです。

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UKTVは、最も人気のあった登録方法1つのみに絞ってほかの方法はやめ、インターフェースに別のアプローチをとることにしました。チャンネルのフレーバーに合わせた見直し後のデザインでは、言葉をシンプルにし、次にすべきことをより理解しやすいようにポインターを追加し、さらに関連するウェブ・コンポーネントの説明になっていない部分の言い回しを変更しました。

学んだこと

新しいもの、見慣れないものを開発する際には、正式なユーザーテストを実施することが非常に有益であるということです。思いもかけないような洞察を得られるものですし、またそれがより良いエクスペリエンスにつながります。

ただし、実際に何かする前に、ユーザー層をよく検討し、一連の「ペルソナ」を作っておきしょう。これにより、デザインチームやUXチームはインターフェースの作成をする際にユーザーを想像することができますし、ユーザーテストの被験者の募集にも役立ちます。この「ペルソナ」をよりリアルにするために、名前を付け、職業、趣味、そして収入を設定し、常にそれぞれのペルソナがインターフェースにどのような反応を見せるかを自問してみましょう。

競合他社がどのようにユーザーの反応の想定を構築しているかを分析しましょう。予想される期待値を測り、一般的に使用されるビジュアルランゲージを特定し、それを用いて、ユーザーの視点から「交換価値」を考えましょう。

ユーザー・ジャーニーの各段階においては、ユーザーにとって不意打ちになるようなことを排除し、重要な情報には明確なメッセージを付けて掲示するようにします。用いている言葉に一貫性があることかどうか何度もチェックを重ねましょう。私たちは「ユーザーネーム」と「Eメール」、「ログイン」と「サインイン」という用語を混在させ同じ意味で使ってしまうというミスを犯していたのです。また、データのセキュリティやプライバシーなどの機密事項については、透明性の高い約束をすることで配慮を示しましょう。

最後に、ユーザーには何かがうまくいかなかった場合に、誰に聞けば回答を得られるかを明確に伝えましょう。ソーシャルメディアやカスタマーサービスなど、ユーザーに直接対応するチームには、明確な説明文書を用意して質の高いフィードバックができるようにしておきましょう。そして、ユーザー管理システムがダウンした場合にもユーザーが動画の視聴を続けられるよう、シームレスなバイパスを用意しておくことが重要です。