IBC 2016 のテーマとトレンド

IBC 2016 のテーマとトレンド

今年もまた、世界最大規模の放送とテクノロジーに関する会議、International Broadcast Conference(IBC)が開催されました。先日開かれたこの会議に訪れた参加者数は 56,000 人と、今回も過去最高を記録しました。このイベント(およびアメリカの NAB)は毎年、放送局や制作会社、サービスプロバイダーが各デバイスの視聴者にリーチする方法を形作る何百もの新製品、イノベーション、そして新たなトレンドをお披露目する場となっています。IBC 2016 で私が気づいたことを以下にご報告します。

広告:過去数カ月の間に OTT 動画配信に関する記事を何か読んでいれば、広告ブロッカーとそれが視聴者やストリームに与える影響について、おそらく耳にしたことがあるでしょう。自分のデバイスやブラウザに広告ブロッカーをインストールする視聴者が増えるほど、視聴体験は全般的に劣化し、売上も大きな打撃を受けています。ブライトコーブでは、技術的に優れたワークフローを実現して売上を最大化すると同時に、お客様のターゲット視聴者のために高い品質水準を維持できるベストプラクティスを提供すべく、お客様や業界のソートリーダーと取り組んでいます。ブライトコーブは、IBC 2016にて、「視聴者は、広告に大変苛立ち、邪魔だと感じるようになりつつあり、広告体験の改善を望んでいる」という調査結果の概要を発表しました。私がさまざまなお客様や動画プロバイダーと話をした範囲では、広告そのものは必要で許容可能であるものの、低品質な体験や邪魔と感じられる体験は不要で許容できないという考えが多く聞かれました。今回の IBC では、当社の Mark Blair と MediaWorks NZ の Tom Cotter 氏との対談にて、サーバーサイド広告挿入(SSAI)が MediaWorks NZ のワークフローを変化させ、売上と ROI の大幅な向上をもたらしているという事実が語られました。

OTT の進化:投資と価値の観点から言えば、今回の IBC では、OTT のサービスや商品がいかにコストセンターからプロフィットセンターへ変わったかという点も、重要なテーマでした。ほんの数年前まで、急激に増えたスマートフォンの画面からオーディエンスに訴求することを目指し、数々のメディアブランドは我先にストリーミングサービスを立ち上げていました。しかし、概してこのような取り組みは、売上につながる投資とは見なされていませんでした。映画『フィールド・オブ・ドリームス』では、主演のケビン・コスナーは「それを造れば、彼が来る」という謎の声を聞き、採算を度外視して野球場を造りましたが、まさにそのような状況でした。現在は、状況が変わりました。今日の OTT 界では、メディアブランドや放送局、サービスプロバイダーと商談する際は、まずはダイナミック広告挿入(DAI)やサブスクリプションといった形のマネタイゼーションの話から始まります。時に批判の対象になることもありますが、OTT の商品は、あっという間に 1 セント単位から 10 セント単位の売上を実現できるようになりました。ご安心ください――これがドル単位になるのもそう遠いことではありませんTitus Bicknell 氏も、そう述べています。

メディア企業は、大小を問わず、OTT に非常に高い関心を寄せています。実際、ほんの数週間で OTT サービスの運用を開始できる費用効果の高いターンキーソリューション「Brightcove OTT Flow - powered by Accedo」は、CSI の Best Internet TV Technology or Service(最優秀インターネットTVテクノロジーまたはサービス)賞を受賞しています。

アナリティクス:動画コンテンツに関連する広告要素を販売するためには、ストリームを適切に測定し、そのパフォーマンスやオーディエンスの視聴状況を把握することができなければいけません。IBC 2016 では、特に測定と解析の分野も大きな話題を集めていました。これは新しいコンセプトではありませんが、多くの企業は、入手可能なデータの深さや幅を広げることで、動画エクスペリエンスの可視性を高めるべく取り組んでいます。例えば、私の認証済み動画エクスペリエンスを、視聴者がサービスプロバイダーを通して OTT 視聴しているときに、ストリーミングで再生不良が起こったとしましょう――そのときのデータは何を教えてくれるでしょうか? また、例えば広告主が私のところで実施したキャンペーンで、実際にどれだけの「視聴」が行われたかという点で広告主と私が合意しなければならない場合に、私の手元には適切な関連データがあるでしょうか? 今回の IBC の期間中、私はお客様とアイデアを共有し、この分野は近い将来に魅力的なイノベーション領域になるだろうという話をしました。

配信準備・配信方法の進歩:このショーで私が頻繁に目にしたコンセプトの一つが、「コンテンツに応じたエンコーディング(content-aware encoding)」でした。その大まかなアイデアとしては、動画ワークフロー内のエンコーディングが、動画をフレーム単位で分析し、ビットを動画のフレームごとにどのように割り当て、配分するかを意識的に決定できるほどインテリジェントであるということです。例えば、空中での戦闘シーンには、話している人の顔のシーンよりも多くのビット数が要求されます。このコンセプトから、動画の圧縮・配信に必要なデータの量を削減できるだけでなく、エンコーディングの各段階におけるレンディションの数も減らすこともできます。このアイデアは、まず何よりもオンデマンドコンテンツにおいて有効かつ有益ですが、これをライブ配信のワークフローに応用するシナリオも考えられます。

それほど新しくはないものの話題になっていたもう一つのコンセプトが、「リアルタイムパッケージング(real-time packaging)」でした。このシナリオでは、ストリーミングを要求しているプラットフォームのタイプを、ワークフローがインテリジェントに検出します。次に、要求元のデバイスに合わせたコンテンツのパッケージングとコンディショニングが行われます。このアプローチには、制作、保存、配信するコンテンツを減らせるなどの数々のメリットがあります。

上記のさまざまなアイデアやイノベーションから、この分野がどれほど刺激的なものであるか、お分かりいただけるでしょう。IBC 2016 も例外ではなく、数千人の参加者も、動画をめぐってこれほどエキサイティングな時期を過ごしたことはない、ときっと口を揃えることでしょう。