VOD にすべきか否か:オンデマンド配信の適切な条件とは?

VOD にすべきか否か:オンデマンド配信の適切な条件とは?

ラグビーのシックス・ネイションズ(6 か国対抗大会)の最終日から F1 グランプリの開幕、そしてソチ冬季オリンピック & パラリンピック大会まで、英国ではここ数カ月間、大型のスポーツイベントが相次いで開催され、英国代表チームも素晴らしい活躍を見せました。これらのイベントが示すように、スポーツプログラムが最大のインパクトをもたらすのはやはりライブに限ります。シートに前のめりなって座りながら、雌雄を決する瞬間を味わえるのはまさにライブならではの醍醐味です。とは言うものの、あらゆる種類の TV プログラムが「ライブ」である必要性があるかというと、そうではありません。

英国の『Broadcast』誌が最近開いたイベントでも、これと同じ議論が繰り広げられました。大手放送局やサービス事業者で構成されたパネルディスカッションで、ライブで配信すべきコンテンツとビデオオンデマンド(VOD)での視聴に適したコンテンツについて話し合いがなされました。容易に答えが出る問題ではありませんが、UKTV の市場開発担当責任者である Dan Fahy 氏がコメントしたように、どの番組がどの視聴形式に適しているかはプログラムごとに個別に検証することが大切です。

自社調査から UKTV は、VOD はファン基盤が確立されているプログラムが最も成功する可能性が高く、TV 放送の前に放送局はバイラル・マーケティング戦略の展開を画策している点を突き止めました。しかしながら、UKTV はいまだにリニアの TV チャネル上で最優先のプログラムを放映しており、VOD は実験用として高い価値があると Fahy 氏は強調しました。

UKTV の主眼が依然としてリニアプログラムにあるなか、BBC 3 がオンライン放送のみに移行するというニュースは、誰もがリニアを最優先に据えているわけではないことを示しています。この BBC の決定の裏には、財務的な問題があり、地上波放送の中止で 5,000 万ポンド以上の節約になると見込まれています。加えて、VOD が時には(特に金銭が絡む時は)ベストの選択肢になる可能性があることも示唆しています。

BBC 3 の視聴者は主にミレニアム世代であることから、このチャネルはモバイルとオンラインでの視聴に適しており、オンデマンドの視聴モデルにうってつけであると BBC ではコメントしています。スポーツのようなプログラムにはライブ視聴が向いていますが、それほどの緊急性や時間的制約がないコンテンツは VOD での配信が最適な場合もありそうです。

消費者の行動変化が今日のコンテンツ配信方法を形作っているのは間違いありません。Netflix のような OTT 専門事業者はこの潮流に乗る一方、放送局はプログラムの配信方法を綿密に再検討する必要に迫られています。しかし、いつでもどこでも、どのデバイスにも手軽にコンテンツを配信し、ユーザー・エクスペリエンスを拡充することは、フラグメンテーション(断片化)がますます進む環境下において至難の業です。Netflix のようなサービスはこの課題解決に取り組んでおり、すでに大きな成果を上げています。

『Broadcast』誌のイベントで、デジタルデザイン会社 Ostmodern の共同創業者兼クリエイティブ・ディレクターである Tom Williams 氏が今日の TV 視聴環境を実にうまくまとめていました。

「人々は利便性と品質、そしてこの2つを提供するサービスに金を払う」

この業界では様々なプレーヤーがプログラムの配信方法の実験を重ねていますが、重要なのは、その中心にいて最も優先されるべきは消費者であるということです。視聴者は手軽さと品質を求めており、そのためには喜んで財布のひもをゆるめるでしょう。