VOD:TV界の常識を破る弟分

VOD:TV界の常識を破る弟分

英国で最大級の人気を誇るビデオ・オンデマンド(VOD)プレーヤーである BBC iPlayer にとって、2013 年はまさに大成功の年となりました。この年獲得した VOD(オーディオを含む)のリクエスト数はなんと 30 億を超えました。この数値は VOD 愛好国としての英国の地位を新たに証明するものです。ただ、番組表にもとづく一から多への従来の TV 放送モデルがもはや広く通用しないことにしっかり気付いているメディア企業にとって、このデータは驚くべきことではありません。

消費者のコンテンツ視聴方法の変化に伴い、プログラムをオンデマンドで用意することがこれまで以上に重要になってきています。同時に、Netflix のような IPTV サービスが拍車をかけるビンジ・ビューイング現象(TV シリーズなどを何話も続けて見ること)など新たな視聴習慣への対応も求められます。放映時間にあわせて視聴したり、お気に入りの TV 番組を録画したりする必要のあった「プレ VOD」時代はもはや過去のものです。DVR は従来のリニアな TV 番組放送をメインスクリーンの前で楽しむのに極めて有効ですが、VOD の登場で TV 番組を持ち運びできるようになりました。今や TV は従来のリビング以外の場所で様々なスクリーンを通じて視聴されています。

VOD サービスが標準装備されているセットトップボックスのプラットフォームは数多くあるものの、VOD の急激な拡大を後押ししたのはモバイルやタブレット、PC での視聴です。とりわけタブレットの普及と英国全土での4Gデータネットワークの開始がこの流れに拍車をかけています。話を BBC に戻すと、昨年のクリスマスではiPlayer史上初めてタブレットでの視聴が PC を上回りました。これはまさに移動中の VOD に対するニーズの高まりの表れです(英国で販売されたタブレットの数と関係があるのは確かですが)。

それでは今後はどのような方向に進んでいくのでしょうか?一言でいうと、マネタイゼーションの進化です。世界の VOD 市場は 2018 年に総額 450 億ドルを突破すると見込まれるなか、メディア企業のやるべき仕事ははっきりしています。VOD 広告の配信をもっとシームレスなエクスペリエンスに変えることです。多くの放送局は VOD 内広告の配信に一時的に(ある局は数年間も)成功を収めましたが、広告パートナーと組んで VOD 向けの新たな広告形式や広告機会の開発・テストを手がける価値に気付き始めているところもあります。その代表例が Channel 4 です。Channel 4 は昨年、4Now という名のセカンドスクリーンアプリを開発しました。このアプリはメインスクリーン上の広告と同期させたターゲット広告をリアルタイムで配信し、双方向のスポンサーシップ機会を可能にするものです。

同局の戦略およびテクロノジー担当ディレクターである Keith Underwood 氏によると、このアプリは「視聴者との関係を強化」でき、個々の視聴者の興味・関心にあわせて TV プログラムや広告をカスタマイズできるそうです。このことは、消費者のコンテンツ視聴方法(ならびに取り扱い方法)の変化を詳しくモニターすることの重要性を表しています。OfCom も普段 TV を見ながらセカンドスクリーンで別のことをしている大人は 51% になると推測しています。コンテンツ プロバイダーや広告主がよりカスタマイズされたエクスペリエンスを視聴者に提供しようとするにつれて、今後このようなトレンドがより顕著に見られるようになるでしょう。

VOD に対するニーズが高まることは確実視されており、放送局はデジタル TV の最初の波に乗り遅れないよう周到な準備を整えています。デジタル TV 上で VOD を展開することで、放送局は自社コンテンツへのアクセス拡大を実現できます。ブライトコーブのテクロノジーはすでに複数の主要放送局の VOD ポータルを支える屋台骨となっていますが、弊社ではさらにターゲット化された契約者ベースのサービスに対する需要が高まるとみています。これらの新たなオプションは TV 放送を真似た「インターネット・チャネル」(リーンバックでありながら、より賢明でダイナミックな手法でライブとオンデマンドのコンテンツを集約したもの)形式で、VOD に新たな変化をもたらすと見込まれています。デジタル TV の第二の波では、先進的なユーザー インテリジェンスを兼ね揃えた、これらのカスタマイズされたサーバーが登場すると私たちは予測しています。