Local TV はかつての失敗を成功に転換できるか?

Local TV はかつての失敗を成功に転換できるか?

昨年 11 月、イングランド東部リンカンシャー州グリムズビーで、英国の新たなテレビ ネットワークである Local TV ブランド初となる Estuary TV チャンネルが開局しました。テレビ放送に新たな歴史を刻むこの新チャンネルは当初、地元のスポーツチームのニュースを伝えていましたが、現在はニュースやスポーツからエンタテインメント、行政まで超ローカルな情報を数多く取り扱っています。地元の喫緊の課題について地方議員に質問するコーナーもあります。

この新たなローカルテレビ チャンネルが掲げている重点分野の 1 つが、地域コミュニティとの積極的なつながりです。コミュニティのエンゲージメントはこのチャンネルの成功に欠かせません。提供されるプログラムのジャンルに視聴者が直接的な影響を及ぼせるという点で、まさにローカルテレビは新たな可能性を切り拓いています。しかし、こういったコンテンツに対するニーズは本当に高いのでしょうか? そしてこの種の放送は長期にわたって持続できるのでしょうか?

テレビ革命が英国で起こるのは果たして宿命なのか-この問いに応えるために、一度過去を振り返ってみましょう。そう、歴史は繰り返すのです。放送の歴史も例外ではありません。ローカルテレビのコンセプトは新しいものではなく、しかも英国ではこれまで一度も成功を収めていません。詳しくは、今は亡き Channel One や 70 年代に存在したユニークな Greenwich Cablevision(なんと地元の詩人が出演!)を紹介したこちらの BBC のニュースをご覧ください。

では、なぜこれらのチャネルは失敗に終わったのでしょうか?まず間違いなく言えるのは、ローカルテレビの立ち上げや維持にかかるコストの問題です。 Local TV の資金源は広告やスポンサー、それに BBC との契約となるでしょう。ただコメンテーターのなかには、広告モデルが確立されていないという向きもいま す。しかし、小規模の地場企業にとって全国放送の CM は依然として途方もなく高く、また地理的にターゲットとなる視聴者に訴求できる点を考慮すると、 Local TV にはマネタイゼーションの余地が充分あります。

一方、ローカル放送を活用した取り組みの 1 つ(今は亡きマンチェスターの Channel M)が始まった 2000 年初頭と現在ではテレビ環境が格段に違います。消費者のネットワーク デバイスの使用時間は今では 1 日当たり 2 時間を超えており、かつ複数のデバイスを組み合わせて補完し合いながら、多彩な方法でコンテンツを視聴しています。

こうした環境では、適切なタイミングと場所で視聴者と関連するコンテンツをシェアすることが欠かせません。消費者を獲得するカギは一流のコンテンツを揃え ることだけでなく、すべてのスクリーン上で一貫性のある革新的なエクスペリエンスを提供することです。前例を繰り返さないためにも、Local TV は地域コミュニティとの関係を保ち、ユニークな地元密着型のプログラムを送り届けるだけでなく、コンテンツが視聴される様々な方法に対応していかなければなりません。

今月開局予定のロンドンの Local TV チャンネル「London Live」はまさにこの試金石となるでしょう。無料日刊紙 London Evening Standard がサポートする同チャネルは、他のローカルチャンネルに比べてはるかに野心的なプロジェクトです。Local TV の全チャネルは極めて重要なオンライン動画を提供すると思われますが、これに加えて London Live はモバイルやタブレット、タクシー、その他のアウトドア メディアにも動画を配信する予定です。

電子番組ガイド(EPG)でのトップ 10 ランキング入り(英国と北アイルランドにおける Freeview の 8 チャネル)は、Local TV チャンネルの立場を高めるのは間違いないでしょう。ただ、この最新のコミュニティ チャンネルの波が再び日常的に視聴されるテレビとして定着するかどうかは、現在の消費者の視聴習慣に応えられるかどうかにかかっています。ユーザーの視聴コンテクストや嗜好に関する基本情報を活用して、パーソナルなプログラムを一段と深く掘り下げることができれば、Local TV は成功を収めることができるでしょう。