有料 TV と OTT が設けたバリケードを法規制でなくすことができるか?

有料 TV と OTT が設けたバリケードを法規制でなくすことができるか?

ウェスト・バージニア州選出の上院議員で、上院商業委員会会長を務める Jay Rockefeller 氏は 2013 年 11 月、Consumer Choice in Online Video Act を提出する計画を発表しました。本法案が目指しているのは、ケーブル事業者や衛星事業者と同じコンテンツにオンライン動画ストリーム サービスもアクセスできるようにすることです。

このニュースに対する私の見解は次の通りです。

政府は消費者の「選択」と、規制の「優しい」手に導かれた「自由市場」とのバランスを取る役割を果たします。このことに異論を唱える人はいません。ただ、これまで標準とされてきたモノやビジネスモデルが瞬く間にすたれ、急ピッチで進化を続けるテクノロジーの領域では、この行為は一段と複雑さを増します。過去 10 年間にわたり、オーバー・ザ・トップ(OTT)や有料 TV、ならびにその関連エコシステムが年単位、あるいは月単位で変わり続ける中、市場をけん引するコンテンツ プロバイダーでさえ長期的な制約のもとでのビジネス展開を余儀なくされてきました。変化し続けるデジタルメディア業界のなかには、一律に法規制を設けるのが困難な側面もあります。一例をあげると、コンテンツの権利や料金を定量化したり交渉したりする際に何が合理的かを判断するのは至難の業です。コンテンツの配信方法や配信先、理想の料金モデルを決める選択権はコンテンツ プロバイダーにあるべきです。一方で、競争を阻害するような談合はまさに私たちが追いかけている悪霊です(この点には Rockefeller 上院議員も注目していると思われます)。

ブロードバンド アクセスに関する法規制には目を光らせておく必要があります。大半の消費者にとって、家庭で真のブロードバンド アクセスを選ぶ実質的なオプションは限られています。例えば私の住むロサンゼルスでは、ブロードバンド(例えば 10M 以上)の選択肢はたったひとつしかありません。モバイル/通信プロバイダは競争力のある 4G LTE オプションを提供しているものの、(家庭でのインターネットアクセスの代わりに)モバイル アクセスを選択する決め手となるのはやはり料金モデルなのです。

ゆえに家庭内のブロードバンド アクセスは、視聴者がコンテンツを消費・経験する唯一の手段であり、価格と価値の判断を下す基準になります。家庭(タブレット、OTT デバイス、ゲーム端末など)へのパイプをコントロールするデータ配信事業者が品質ならびに(あるいは)料金をコントロールできるなら、統合プロバイダー(多くはケーブル、通信有料 TV 事業者)が料金と品質の面でコンテンツ サービスの質を悪化させる競争(スピードの低下、待機時間の増加、不安定なパフォーマンス)を繰り広げるといった、望ましくない事態が起こる可能性はほぼなくなります。「戦場」領土(以前は FiOS、今日では Google Fiber)にいるような幸運に巡り会えない限り、ブロードバンドのオプションは制限されるのです。

これらの悩ましい問題をかわすことができたとしても、「エコシステム全体を健全に保つにはどうすればいいのか」という真の課題が依然として残ります。

視聴者は、簡単かつ法に則ってコンテンツを消費する選択と責任を与えられるべきです。と同時に、私たちは日常的に消費している優れた放送・映画コンテンツを制作・配信するコストを適切に反映した価格モデル(有料または無料/スポンサード)を受け入れる必要もあります。質の高いコンテンツがなければ、選択と規制に関して議論しても、それは皿が空の状態で、フォークやスプーン、はし、先割れスプーンのメリットについて話し合うようなものです。

一方、コンテンツ プロバイダー(有料・OTT ともに)は付加価値の提供と消費の拡大にエネルギーを注ぐ必要があります。そうしないと、コックばかりが集まった部屋でメニューを議論し、ダイニングには誰もいないという状態が生まれてしまいます。今回の法案提出で、これがまさに現実になりかねません。真の問題点をきちんと直視しましょう。有料 TV と OTT が互いに争っている状態のままでは、消費者に長期的なメリットをもたらすことにはなりません。