Chromecast の実力は?

Chromecast の実力は?

私はこれまで、セカンド スクリーンモバイル ライフスタイルリーンバック プログラミングの接点について、数多くのブログで記してきました。そしてこのたび、Google から Chromecast(クロームキャスト)が発表されたことで、セカンド スクリーンでの動画視聴環境を再構築するという私の考えを試す時がやってきました。

セカンド スクリーンの未来は依然として、そびえ立つ期待の山には届いていないのでしょうか? それとも、セカンド スクリーン環境はようやく、トンネルの先の光明にたどり着くことができそうでしょうか?

答えは、「たどり着けるかもしれない」といったところです。

私は出張中に Chromecast を手に入れ、さまざまな場所や設定でテストしました。第一印象は次の通りです。

  • サイズ
    一般的な USB メモリほどのサイズで、小さく携帯可能でポケットに入れて持ち運べます。Apple TV に比べて小型です。電源コードが欠点の 1 つですが、USB ポートに差し込んで充電できます。一般的なコンセント充電機器に比べて気が利いています。
  • コスト
    35 ドル(税金・配送料を除く)。Apple TV や Roku と違って、手のひらに収まるサイズでこの値段はお買い得です。
  • 設定
    Chromecast はデバイスのペアリングや通信に DIAL を使用します。設定は極めて直感的ですが、コンフィギュレーション用にデスクトップやスマートフォン向けアプリをダウンロードする必要があります。

「モバイル」リビングルーム
他の同種のデバイスと同様、Chromecast には Wi-fi 機能が内蔵されており、「スマート」テレビを持つ必要がありません。Wi-fi 接続された Chromecast を HDMI ポートに差し込み、テレビをスクリーンとして使用します。Chromecast を使うことで、デジタル動画の視聴エクスペリエンスはまさにモバイルになります。休暇中であろうと、自宅であろうと、ユーザはいつでも、どこでも、どのデバイスでも好みのコンテンツにアクセスしたいものですし、そのような環境を要求することさえあります。

有料テレビ放送の視聴は現在、各テレビにセットトップボックス(STB)をつないだ場合のみに限られています。ゲスト用のベッドルームに新たにテレビを設置しようとしたら、STB のコストを毎月追加で支払わなければなりません(たとえ視聴時間が毎月1%に過ぎないとしても)。

そのような場合は、Chromecast を買うのも 1 つの手です。テレビに接続するだけの小型の Chromecast は、自宅から友人宅やホテルなど別の場所に簡単に持ち運べます。複数購入してもそれほど値が張りません。テレビがスマートであるかを気にすることもありません。

Chromecast は Chrome ブラウザ タブのレンダリングをサポートしていますが、MacBook Air の Chrome ブラウザの質は悪くはないものの最高というわけではありません。メディアのプレイバックは一体化されていなく、動画はテレビ画面上でレンダリングされますが、音声はローカルのラップトップ スピーカ経由でレンダリングされます。しかしながら、デスクトップ ブラウザから手軽にコンテンツをレンダリングできる機能は、ケーブルや解像度の問題で、プレゼンテーション ファイルをテレビに表示させることに苦労した経験をお持ちのすべての方に役立つソリューションです。

メディアについては、Chromecast はまさにモバイル デバイス上の承認されたアプリケーションでのプレイバックに最適化されたデバイスといえます。サポートされているアプリケーションは現在、YouTube や Netflix など一握りに過ぎませんが、たいていの視聴者はこの 2 大アプリケーションを通じて、大量のユーザ生成コンテンツやプレミアム コンテンツを効果的に視聴できます。モバイル デバイスからのミラーリングではなく、コンテンツ サーバから直接コンテンツをリクエストしているため、画質は優れています。また、モバイル デバイスと Chromecast とのやり取りは十分スムーズです。

Chromecast が DIAL を採用しているメリットの 1 つは、アプリケーションがバックグランドで作動している時でも、テレビ画面上でのコンテンツ プレイバックをサポートしている点です。とても細かい点ですが。モバイル デバイスからテレビへと広がる上質な動画エクスペリエンスを創り出すために AirPlay を使う時もありますが、他のアプリを使用したり、メールのチェックやテキストメッセージへの返事を書いたりするためにアプリケーションをバックグランドに移動させると、たいていプレイバックがストップしてしまいます。

余談ですが先日、妻と二人で MTV Video Music Awards 2013 の発表をテレビで見ていた時、放送中にアーチストや曲の情報をスマートフォンで頻繁に調べました。Macklemore が「ソーシャルメッセージビデオ賞」を受賞した際は、YouTube アプリで検索し、Chromecast 経由でミュージックビデオをテレビにストリーム上映しました。この間、スマホを数回タップしただけで、途中でメール返信のために別のアプリを操作していましたが、プレイバックが途切れることもなくスムーズでした。

Chromecast は多種多様な動画フォーマット、コンテナ、DRM(Widevine や PlayReady など)をサポートしています。High Profile のサポートは、Android の Baseline 向け基本サポートをも上回ります。ただ当然ですが、HLS のプレイバックには対応していません。

Chromecast が DRM(複数のコンピュータ システム)や MPEG-DASH をサポートしていることは、プレミアム コンテンツを重視していることを示唆しています。また、Chrome OS は EME や MSE、WebCrypto を通じて HTML5 形式での DRM 向けサポート(Netflix 経由)を提供しており、パブリッシャは全体のプラットフォーム戦略の大枠を捉えられるようになり始めています。その 1 つが、両フォーム ファクタとデスクトップやタブレット、スマートフォンといったプラットフォームの間の境界線を橋渡しすることです。

まだまだ第一章が始まったばかり
DIAL は新しいプロトコルで、Chromecast もまだその形がはっきりとは決まっていません。ユーザの皆さんは Chromecast の大きな課題の 1 つとして、すぐにでも対応するアプリケーションの数の少なさを上げるでしょう。HBO GO や WatchESPN、Hulu などへの対応が待たれます。デベロッパのコミュニティで何らかのハッキングや抜け穴が発見されるのも偶然ではないでしょう。私の考えでは、Chromecast がユーザやデベロッパ、コンテンツ パブリッシャの間のバランスを取りながら発展を遂げていくことは、まさに Google が狙っていることの一部です。核となる基本機能を提供することで、Chromecast は徐々に成長していく可能性を秘めています。

Chromecast は多くのパブリッシャを悩ましている課題を浮き彫りにしました。それは、「セカンド スクリーンとは何なのか?」というものです。

1 つ言えるのは、Chromecast は Apple TV モデルの有効性を実証したということです。両者の違いは、Chromecast ではモバイル デバイスがデジタル エンタテインメントのエコシステムの中心になり、テレビがコンテンツを表示するだけの技術的な周辺機器として機能するという点です。

そして、Chromecast が HLS をサポートするようになれば(Android はフルサポートを提供)、Chromecast のセカンド スクリーン化は格段に早いタイミングで起こることでしょう。

本ブログは 2013 年 8 月 30 日付の WIRED’s Innovation Insights の記事と同じ内容です。