モバイル視聴者「えこひいき」のススメ(パート 2)

モバイル視聴者「えこひいき」のススメ(パート 2)

このトピックに関する前回の記事では、モバイル向けデファクト スタンダードとしての iOS について説明しました。iOS の HTML5 コンテキストには断片化の問題が残っていますが、今や各パブリッシャが参加を余儀なくされるプラットフォームになりました。HTML5 のサポートにより、ネイティブ アプリ エコシステムの確立、AirPlay のような先進機能によって、iOS は今後もパブリッシャのモバイル戦略には欠かせない存在となるでしょう。

ところで iOS のプラットフォーム数も、iOS の成長率もトップではありません。

では他のプラットフォームはどうなっているのでしょうか。そしていわゆるフィーチャフォンは? [さらば我が愛しの RAZR よ。ケーブルテレビを契約していなかった頃は、V CAST の 3 分間のクリップを視聴し続けてニューヨークのタクシー ドライバーを苛立たせたものだ。]

最良の組み合わせ: Android 4.x に搭載されたネイティブ アプリ

誰だって一番になりたいけれど、Android は 2 番手の座に定着し、昔 Avis が使っていた「We try harder(もっと頑張ります)」というモットーを引き継いだようです。全世界での登録台数(8 億台以上)、アクティベーション率(1 日当たり 100 万台以上)、ネイティブ アプリの増加率(70 万本以上)、Facebook Home のような新技術のサポート能力のいずれを見ても、Android デバイスは間違いなく普及しています。しかし Android のエコシステムは断片化という厳しい現実に直面しており、これは Android OS だけでなくハードウェアでも発生しています(パフォーマンス、動画プロトコル、エンコーディング プロファイルなど)。そして Facebook Home は一部のデバイスでしか機能しません。

モバイル Flash はどうなのか?
モバイル Flash を選択することもできましたが、常にパフォーマンスに問題がありました。モバイル Flash の問題がまだくすぶっている状況で、アダプティブ ビットレート ストリーミングが必要なパブリッシャはネイティブ アプリ戦略に移行しなければなりません。

でも HTML5 なら機能する... でしょう?
プログレッシブ ダウンロードでベースライン動画だけを配信すればよいパブリッシャにとっては、モバイル Web エクスペリエンス用として HTML5 も 1 つの選択肢ではあります。ただし、イベントとロジックの一貫性欠如に伴うエクスペリエンスの断片化回避に相当な手間がかかります。

ただしほとんどのパブリッシャが必要としているのは、アダプティブ ビットレート ストリーミングと、ある程度のコンテンツ保護(暗号化など)です。一番多いのは、既存の HLS エンコーディングと配信ワークフローを使い続けたいという要望です。Android 3.x は限定的にしか HLS をサポートしておらず、マーケット シェアもあまり多くはありません。Android 4.0、4.1、4.2 上の HTML5 と HLS にはまだ問題があります。動画がいまだにベースライン プロファイルに限定されているだけでなく、再生に多くの問題があるため、Android 上の HTML5 と HLS は一貫性や信頼性の高い広告、測定、再生には適していません。この方法を選択する場合、パブリッシャは非常に注意する必要があり、かなりの困難を予想しておかなければなりません。

パブリッシャは Android にも対応しなければなりませんが、ユーザにとって魅力的な動画エクスペリエンスを提供するためには、ネイティブ アプリの柔軟性とコントロールを活用する必要があります。Android 4.x 以外での視聴者もまだ多数存在していますが、 パフォーマンスや再生面から、パブリッシャはあえて先行して Android 4.x に重点的に取り組む必要があります。

その他の考慮点
いくつかのサードパーティが、Android 2.x デバイス上の HLS をサポートする独自のライブラリを開発しました。コスト負担に見合った視聴者数が獲得できる可能性は低いので、パブリッシャは慎重に判断することをお勧めします。(熱意と予算があるパブリッシャには最適な方法ではありますが。)

これ以外にも、Adobe AIR を使用して、ネイティブ Android アプリ用(そしてその他のプラットフォームも)にアダプティブ ビットレート ストリーミングを提供することもできます。この方法は既存の Flash 指向のスキルセットとインフラストラクチャを活用できるというメリットがありますが、Adobe への依存度が高くなる点は注意が必要です。

Netflix は先日、HTML5 Premium Video Extensions(メディア ソース拡張機能、暗号化メディア拡張機能、Web 暗号化用 API)による、DRM 保護コンテンツのサポートを発表しました。Netflix のようなパワーハウスが業界全体に役立つ機能を提供できることを示した、心強いニュースになりました。ただし、これが Samsung ARM ベースの Chromebook でしかサポートされていないことを考えると、今後どの程度普及し、断片化の解消に一役買うことができるのかはわかりません。

その他のことはとりあえず置いといて
iOS と Android(ネイティブ アプリ)以外にも、いくつかのプラットフォームが存在しています。これらの視聴者を無視するのはしのびないのですが、明確なビジネス上の理由がない限り(「インセンティブ」が得られるプラットフォームなど)、この種のモバイル プラットフォームは視聴者の減少や、その後の技術進化により、その価値が低下しています。Android(HTML5、2.x ネイティブ アプリ)、Blackberry、Nokia、Windows Phone 7、Windows 8、その他すべてのフィーチャフォンがこのグループに属しています。

最後に残るのは 1 つ(か 2 つ)
iOS がモバイル プラットフォームとして最も支持されるのも当然です。iOS(そして開発者、パブリッシャ、エンド ユーザによる iOS アプリ エコシステムの成熟度)と Android の潜在的な成長能力(断片化された環境にもかかわらず)に対する消費者の期待を考えれば、ネイティブ アプリを重視したモバイル戦略が不可欠です。それ以外のあらゆる点は、プラットフォームの進化(Android 2.x など)、プラットフォームの寿命(Blackberry など)、Windows 8 のような未知の要因によるものであれ、対応がどの程度必須なのかという観点で検討する必要があります。Windows 8 には数十億ドル以上の広告費がかけられていますが、まだ本格的な導入には至っておらず、導入したユーザが果たしてターゲットとして魅力的なグループなのか(つまり法人による導入が大半なのか)、このプラットフォームが HLS(Xbox のように、長期間遅れた末)や DASH に対応するかどうかは未知数です。

それがはっきりするまでは、「えこひいき」作戦で手堅く進めるしかありません。モバイル プラットフォームの状況は今のところ画一なものではなく、消費者に喜んでもらうためにパブリッシャは、レベルの低いものに照準を合わせることなく、最も優れた機能をエコシステムに提供することができるデバイス プラットフォームを採用する必要があります。

八方美人になりたい気持ちもわかるのですが、デジタル分野の予算には限りがあるため、ある程度の妥協が必要なパブリッシャの場合は、モバイル機能でできるだけ多くのデジタル ユーザを獲得するのが得策です。そのための定石は現時点では iOS ですが、Android も肉薄しています。衰退するフィーチャフォンとは対照的に、(iOS)タブレットの人気は今後しばらく衰えないでしょう。