手軽になったライブ動画の配信

手軽になったライブ動画の配信

2000 年代の前半、デジタル ノンリニア エディティング(NLE)ソフトウェアとワークステーション、大量ストレージ ソリューション、プロ仕様の高解像度カメラの登場により、独立系の映画制作会社が一世を風靡しました。この種のツールがあれば、低コストでストーリー作りが可能になり、映画制作プロセスにおいてフィルムは、あったほうがよいが必ずしも必要ではない要素になりました。35mm フィルムの代わりに、キヤノンやソニー製のデッキ、G-Tech ドライブと MacBook Pro が入ったスーツケースが現場に持ち込まれました。

ただしご存知のように、強力なツールが手頃な価格で簡単に手に入るようになっても、優れたストーリー、才能のある監督、俳優、撮影技師、メイクアップ アーティスト、スタント コーディネータ、その他目に見えない多くの影のスタッフの代わりにはなりません。

過去数年の間、パブリッシャの多くは、主な、または唯一のプログラミング タイプとして、事前に録画済みのコンテンツを中心に扱ってきました。ほとんどの場合、事前に録画されたコンテンツの利用は、ライセンス上の制約(サイマルキャストのブロードキャストなど)、またはコンテンツのマネタイゼーション能力が不十分である(デジタル サービスの一環として、または総合的な取引の一部としてパッケージに組み込むには、オンライン視聴者数が少なすぎるなど)というのが主な理由でした。

パブリッシャがイベントベースのオンプレミス イベントでライブストリーミングを行おうとする場合、技術面や要件に関して次のようないくつかの課題に直面します。

  • ハードウェア エンコーダは強力なツールだが、コストも手間もかかることが多い。トップレベルのエンコーダは資本支出の面で大きな負担となるだけでなく、その輸送や保管にかかる費用もばかにならない。かつてデスクトップ マシンやモニタを新しいデスクに移動するのがどれだけ大変な作業だったか思い出してほしい。
  • オンプレミスのライブ ストリーミングでは、アップリンクの帯域幅が足りないことが多い。5Mbps のアップリンクで十分に思えるが、パブリッシャはマルチスクリーン ABR をサポートする必要があり、その場合、通常は 2500、1800、1200、800、500、350、150 のレンディション ビットレートで RTMP と HLS プロトコルをエンコーディングしなければならない。そうなると 5Mbps のアップリンクは昔の Hayes モデムのようなハンドシェイク音しかしなくなる。
  • さらに、オンプレミス環境では、パブリッシャはライブ ストリーミング ハードウェアとソフトウェアの管理、設定、操作に精通したスタッフが必要になる。これを 24 時間 365 日ノンストップで行っている放送局なら、この種のスキルを組織内で入手できる可能性がある。しかしパブリッシャの場合は、どうしても熟練スタッフがこの作業に従事することになる。
  • つまり、パブリッシャによっては、適切なハードウェアとスタッフが確保できれば、「1 回の」オンプレミス ライブ ストリーミングであれば何とか対応できる。複数のイベントを同時に開催する場合、パブリッシャはいずれかのイベントをあきらめるか、回収に長い期間を要するような一時的なコスト負担のいずれかを選択せざるを得ない。

ロンドン オリンピックの際の街の様子、CES(家電ショー)、海中カメラによるペンギンの生態観測に至るまで、パブリッシャは Brightcove Video Cloud を使用してライブ イベントの再生やマネタイゼーションに対応しています。今年初めに開始した FCC 規制に従って、Brightcove は先日ライブ ストリーミング用のクローズ キャプションのサポートを開始しました。

しかし、すべてのパブリッシャにマネタイゼーションとブランディングのための有効なコンテンツ モデルとしてライブ ストリーミングの価値を評価してもらうには、これだけでは不十分だと考えました。

そのため、Zencoder Live Cloud Transcoding の提供によって、Brightcove はライブ ストリーミングに関するほとんどの懸念を払しょくしました。ライブ ストリーミングは今や、あらゆる規模のパブリッシャにとって、コスト パフォーマンスとスケーラビリティの高い、手軽な技法なのです。何年も前に見た初期の頃のライブ ストリーミングの原型は、切手ほどの大きさしかないサイズでした。水槽で魚が泳いでいる様子を再生したものでしたが、よほど想像力豊かな人でない限り、面白い映像だとは言えませんでした。余談になりますが、Brightcove API を使って最初に私が行ったライブ ストリーミングは、うちの犬がいびきをかいて寝ているだけの映像でしたが、技術的には面白いものになりました。MBP カメラから FMLE、Zencoder、Akamai、Video Cloud を経由して、最終的に画面に映像が表示されました。

それが今や、パブリッシャはライブ ストリーミングの操作要件として、単一のソフトウェア エンコーダからの単一のアップリンク レンディションだけを行えばよくなったのです。Zencoder がクラウド内ですべてのマルチプラットフォーム、およびマルチビットレート トランスコーディングを処理してくれるようになったからです。これはパブリッシャの選択肢が増え、コントロールがしやすくなったことを意味します。現在の要件は以下のとおりです。

  • 単一のソフトウェア エンコーダ -- ハードウェア デコーダは任意
  • 単一のアップリンク レンディション -- 最も品質の高いビットレートでのレンディションを送信すれば、後はクラウドで処理してくれる。パブリッシャが RTMP 経由で単一のレンディションをサポートする場合、当然問題はない。Flash 用に 10 種類の RTMP レンディション、iOS モバイル Web、ネイティブ アプリ、コネクティッド TV 用に 10 種類の HLS レンディションが必要な場合でも、必要な設定を行うだけでよい。
  • API インテグレーション -- 基本から始まり、最初のステップでは柔軟な API を提示して、パブリッシャの既存システムやワークフローに簡単に統合できる。

以下に示すような Brightcove のイノベーション パートナを活用することで、パブリッシャはエンドツーエンドの効率や価値をさらに高めることができます。

  • mDialog などのマネタイゼーション サービス パートナにより、手動および信号ベース向けに、ライブ ストリーミング コンテンツ用のサーバ側の広告挿入が可能になる。
  • Akamai や Conviva といった QoS 測定パートナにより、再生エクスペリエンスの詳細な調整を行い、視聴エクスペリエンスを向上することができる。また、コンテンツや広告の視聴とエンゲージメントも増強させることができる。
  • パートナ各社が提供している新たなプラットフォーム エクスペリエンスは、ライブ ストリーミング エクスぺリエンスを、デスクトップ上だけでなく、時間、場所、デバイスを選ばない柔軟なものに拡張する。

Brightcove のお客様の中には、すでにこの機能を取り入れているパブリッシャもあります(バス フィッシング犬ぞりレースを参照)。犬ぞりレースとは若干かけ離れていますが、ハスキーとジャーマン シェパードのミックスであるうちの愛犬が、オハイオ州北東地域独特の雪の時期に、プラスチック製のそりに乗った私を引きずり回している動画があったのを思い出しました。ただ、ノルウェー北部で毎年開催されている 500 キロおよび 1000 キロの距離を数日かけて行われる犬ぞりレースに比べると話にならないかもしれませんね。Smartcom:tv のようなパブリッシャにとって、全天候型のカメラで撮影した 600 時間にも及ぶレースの足跡を、世界中の視聴者のデスクトップやモバイル デバイスにライブ ストリーミング配信できるという確信を得るには、有料コンテンツと優れた技術を融合させることで素晴らしい成功事例となり、視聴者に喜んでもらえる(うちのボストン テリアの鳴き声やいびきのライブ ストリーミングよりはかなり喜んでもらえることは間違いありませんが)ことがわかっていなければなりません。

iPad が登場してからまだ 3 年少々しか経っていません。発表当時は懐疑的な意見も多数ありましたが、この新しいデバイス(この記事も iPad で書きました)が視聴者の動画視聴習慣を変え、新たな収益やブランド機会を提供するようになったことに多くのパブリッシャが驚きました。すでに多くのパブリッシャが有効なコンテンツ プログラミング手段として(サイマルキャストのブロードキャスト、ブランド マーケティング イベント、リアリティ プログラミング、教育やスピリチャル プログラミング、スポーツ競技など)、ライブ ストリーミングを活用しています。あらゆる技術的変化は躍進、停滞、歓声の繰り返しの中で起こります。手間が軽減され、必要な技術が手頃な価格で容易に手に入るようになった今、ライブ ストリーミング機能は、魅力的で新しいコンテンツ プログラミング機会をすべてのパブリッシャに提供してくれるでしょう。

パブリッシャはコストパフォーマンスに優れたエンゲージメント戦略として、あるいはマネタイゼーション チャンスの増加や、VOD コンテンツの利用率向上のため、そして視聴者を喜ばせるためにライブ ストリーミングを検討する必要があります。