善は急げ:オンライン動画マネタイゼーションへの迅速な対応が求められる出版業界

善は急げ:オンライン動画マネタイゼーションへの迅速な対応が求められる出版業界

デジタル技術の急速な進化によって、時代遅れになってしまう市場が出てきそうです。とはいえ、業界によっては新たなデジタル環境におけるニーズに上手く順応しているものもあります。長年印刷物をメインに扱ってきた出版業界は、急速な変化への対応に苦慮している業界の 1 つとしてよく挙げられます。

メディア企業は明白な強み、すなわち独自のコンテンツと固定視聴者という 2 つの貴重な資産を基盤として、高品質のコンテンツを配信して収益を得ていました。しかし、手間と費用がますますかかるようになったデジタル環境の変化によって、このようなわかりやすい数式は崩れようとしています。常に変化するこのトランスメディア環境によって、リーチ拡大や視聴者増加の機会がかつてないほど大きくなっていますが、同時に同じ視聴者が新たな場所にいる場合でもリーチを失わないように、より多くの費用をかけなければならなくなりました。

私は先日、ロンドンの Publishing Expo で「How to Monetise Online Video(オンライン動画のマネタイゼーションをするには)」というパネル セッションに参加してきました。このセッションでは、デジタル革命によってコンテンツの利用方法がどのように変化してきたかを紹介すると共に、出版業界が収益を確保しつつこの変化にどう対応すべかについて多くの議論が交わされました。Web の成長やモバイル技術の目覚ましい進化によって、出版業界は視聴者にとって便利な場所とタイミングで、求められるコンテンツを提供しなければならなくなりました。さらに、現在最も変化の激しいメディア分野である動画がオンラインを席巻しつつあります。ブランドやコンテンツとの関わり方が根本的に変わります。特にモバイル動画に対するニーズは非常に高く、モバイル環境での動画視聴者数は昨年だけで 262% 増加しました

今日のトランスメディア環境は、動画広告によって大きな収益が期待できること、そしてその可能性が増大し続けていることを意味しています。B2C 市場に動画マネタイゼーション機会が「ある」ことは間違いありませんが、出版業界は実際に何らかのアクションを起こすことに非常に消極的で、多くの出版社は、デジタル環境での収益機会の規模をまったく理解していません。

お金の流れが変わった今、出版社はデジタル マネタイゼーション戦略に今すぐに着手する必要があります。マネタイゼーション戦略を成功させるには、多くの留意すべき点があります。

  • デバイス:どこにコンテンツを提供し、多種多様なデバイスでどうやってユーザへのリーチを確保するのか?
  • コンバージョン:リッチ メディアでどうやってトラフィック、エンゲージメント、コンバージョンを増加できるのか?
  • ソーシャル:ソーシャル メディアや動画共有サイトをどのように活用するのか?
  • インサイト:各配信先でのコンテンツ パフォーマンスに関する情報をどのように入手するのか? 何が効果があるのかを評価する上で、また広告主/スポンサーに対して読者の動画に対するニーズを証明する上でも、リアルタイム分析は不可欠
  • スケーラビリティ:既存の DIY インフラを拡大して、革新のスピードについていく方法とは?その戦略で採算は取れるのか?

読者のことを一番理解しているのは出版社の皆さんなので、読者が何に関心があり、どのような情報を求めているのかも把握しているはずです。高品質な視聴エクスペリエンスを維持し、視聴者に合わせてマネタイゼーション戦略をカスタマイズすることが重要です。たとえば、30 秒の動画に 30 秒のプリロールを付けても意味がありません。コンテンツが短すぎるので、視聴者は広告への関心がわかないままで終わってしまうからです。同様に、マネタイゼーションの方法としてやみくもにプリロールを除外することもお勧めできません。スキップできる広告機能は効果が高いことが立証されているからです。最初に広告をスキップしなかったユーザは、そのコンテンツへのエンゲージメント率が非常に高いことが分かっています。

Financial Times 紙の編集者、Lionel Barber 氏の言葉を借りれば、ニュースはもはや新聞で見るものではなく、「Web の仕事」になりました。そして新聞機能の変化に伴い、Web の役割も変化しており、動画やモバイルなどの重視傾向がますます高まり、オンライン出版物が徐々に動画の最終的な受け皿に変貌するでしょう。独自のコンテンツという貴重な資産を活用して、マルチプラットフォーム配信とマネタイゼーションによってコンテンツ利用者数を維持し、拡大できるという点を認識することが何よりも重要です。