英国から見たデジタル著作権管理

英国から見たデジタル著作権管理

昨年はデジタル著作権管理管理(DRM)について話したり、考えたりする時間がかなり増えました。一言でいうと、DRM はコンテンツ保護のための技術です。RTMPe や HLS 暗号化よりも高度なセキュリティを提供し、サードパーティの配信業者にプログラミングをライセンス提供しているコンテンツ クリエータの間では必須のものになっています。

DRM の世界でも一般的な技術の世界でも、偶然にも主なプレーヤは同じで、たとえば Google は Widevine を提供しており、Microsoft は PlayReady を、Adobe は Access 製品を販売しています。また、MDC が提供している Marlin というオープン スタンダードもあります。

以前、英国のテレビ局である Channel 4 に勤めていたとき、唯一認められていたコンテンツ保護ソリューションは、Microsoft Windows DRM でした。今や市場は大きく変化し、コンテンツ ライセンス契約の増加によって「業界標準の DRM 技術」のニーズが高まっています。この種の契約では指定技術として、Widevine、PlayReady、Access、Marlin のいずれかを選択することがよくあります。

では、なぜ私は DRM についてそれほど多くの時間を費やして考えているのでしょう?

それは、英国やヨーロッパのハイエンド メディア市場では、複数の DRM 技術を広範にサポートすることが当たり前になったからです。インターネット上でプレミアム ビデオ コンテンツを配信する場合、99% の確率で、何らかの DRM 機能が必要になります。さらに、大西洋をまたいだ米国からも、DRM のニーズが増加し始めたことを示す様々な情報が入っています。これは英国の消費者にとって大きな問題です。CSI や Homeland など、英国でも人気のあるアメリカのテレビ シリーズが上記のいずれかの DRM 技術で保護された場合、オンラインでしか視聴できなくなるからです。

米国の放送会社は、米国内でも間もなく DRM の使用が必要になるとの見解を示しています。米国の映画スタジオは、すでに共通ファイル フォーマットに向けて動き出しています(これには 5 つすべての UltraViolet DRM が必要)。これは米国での DRM に関する方向性が定まったこと、そして今後普及が拡大するということを示しています。

DRM が「必要悪」かどうかについての記事が多く見られます。この分野に関する私の考えは、実用性(たとえば多くの農家が牛をフェンスの中で飼育しているように)と、特定の技術に縛られたくない(アメリカの弁護士の許可を得なくても、人は好きなものを、場所や時間にとらわれずに観ることができなければならない)という考えが混ざったものです。

いずれにしても、DRM はすぐに導入しなければならない技術ですが、プレミアム プログラミングの作成方法の大きな変化(何よりも重要なのはそのコストをどのようにまかなうのか、ですが)によってこれが変わろうとしています。しかしながら、配信業者が選択する DRM 技術は、対象となるプラットフォームによって異なります。話が面白くなるのはここからです。

現在主流といわれているプラットフォームは iOS と Android です。デスクトップやラップトップ コンピュータを使用してサービスにアクセスするものを Web と定義した場合、多くの点でその重要性は低下しています。逆にモバイル タブレットやスマートフォンが躍進しており、モバイルへのシフトは予想以上の速さで進んでいます。2011 年後半に、IDC は 2015 年までに動画コンテンツのモバイル消費量が、デスクトップでの消費量を上回るというデータを発表しました。このところの普及スピードからすると、一部の統計結果を 2 年前倒しする必要があるかもしれません。

モバイルの普及、そして各種デバイスでプレミアム コンテンツを視聴したいという消費者ニーズの高まりを受けて、DRM 技術の重要性はますます高まる一方です。最終的には、DRM が消費者にとってほとんど意識しなくてもよい存在になる必要があります。視聴エクスペリエンスの妨げにならず、サービスへのアクセス時に何も特別なことを行わなくてよいというのが理想的です。配信者側からすると、安全でできるだけ多くのデバイスで機能するのが優れた DRM ソリューションということになります。DRM を必要としているブライトコーブのお客様の多くが、今日のような統一感のない環境ではなく、特定の DRM ソリューションに集約されることを望んでいます。ただし現時点では、1 つの DRM エコシステムにまとまるのはまだしばらく先のことになりそうです。

つまり、DRM が不要になる日が来ることを願っても無駄なことで、少数の DRM 技術への標準化を進めるのが現実的だと思います。