FF500

この前、白金トンネルを通った。
トンネルの出口にギーガーバーというバブルの象徴のようなビルがあったのだが、ずいぶん前に取り壊されたようだ。

あれは、20年程前、そのギーガーバーで半年時給650円のバイトをして行ったパリでの出来事だった。(お、なんかパリのエスプリっぽいぞ、)

ユーレイルパスでの貧乏1人旅だった。
朝食付きのホテルに泊まった日、その朝食を期待して、前日の夜はコーラ一杯で飢えをしのいだ。が、コンチネンタルブレックファストなので、クロワッサン一つとコーヒーしかでず、その期待は大きく裏切られたのだが、、、、、。
午後遅く、観光等も一通りすべく、ムーランルージュに行った。

あのあたりの通りはピガールといわれ、言わばパリの歌舞伎町のような所なのだが、昼間はいたって普通なのにがっかりした(いや、がっかりする必要はないか、、、)。

でムーランルージュの前で記念写真をとるべく、通りがかりのフランス人のおじいさんにお願いした。

しかしおじいさん、手がぶるぶる震えている。

なんだかちょっと頼む相手を間違えてしまった感だったが、おじいさんは気さくな人で、「おまえは日本から来たのか?」とかフランス語で聞いてくる。こっちはフランス語全く話せないので、なんとなく質問を想像して答えたりして、微妙にコミュニケーションが成立していた。

そうするとそのおじいさんが「うちに来ないか」と誘ってくれたのである。
1人旅だとたまにこういう事がある。こういう場合、野性の勘でこの人安全かどうかを見分けなければいけないが、この時は、いい人にみえた。

「で、家で何するの?」(できればご飯が食べたいという表情で)と聞いたらなんかフランス語で言っている。
まったく意味がわからず聞き直すと、こんな時間だからもう寝るというジェスチャーをしてきた。
いや、こんな時間ってまだ夕方でっせ、早すぎるんではないでっかおじいさん。(で、ご飯は食べないんですか??)

と躊躇していると、おじいさんは紙に何か書きだした。

 

「FF500 Amour」

 

Amourというのは男子として最初に学習すべき仏語なのだが、当時の私は分からなかった。

FF500というのはフレンチフライ500本?
いやさすがに朝からクロワッサン一つの私もそれはちょっと胸やけしてしまいそう、、、、、、、、

ではなくて、

フレンチフラン(当時1フラン30円程度)のことか?
ということは、15000円ということですか。反射的に「FF1000なら」という交渉をしようか頭をよぎったが、いやいやそこまで困っているわけではない、というかかなりおかしいだろ。(パリの歌舞伎町的にはおかしくないのかもしれんが)

ということで、私は、足早にその場を立ち去った。

これも、いわゆる一つのパリでのアバンチュールだったのかもしれない。(おじいさんの家には行かなかったが)