社内コミュニケーション /

One Shiseidoを全社員が実感。情報伝達スピードを加速させる動画というコミュニケーションツール

「動画には、文章や写真を超える伝達力がある」

2018年、資生堂は売上高、営業利益、当期純利益のすべてにおいて過去最高を更新した。その原動力になっているのが、2020年までの中長期戦略「VISION 2020」で打ち出された「PEOPLE FIRST」という考え方だ。「世界で勝てる日本発のグローバルビューティーカンパニー」であるためには、すべての社員が企業価値を高める原動力になるというメッセージで、社員の意識をより高める改革を進めている。

社員の意識を高め、ビジョンを統一するために主要な位置を占めるのが、社内コミュニケーションサイトの「WITH」だ。全世界で4万人を超える社員が、One Shiseidoを実感し、一体感を持って仕事に取り組むためのポータルとして、2016年に開設された。トップ自らが語る経営戦略や、全世界の社内ニュースが多言語で配信され、グループの全社員が内容を共有できる。このWITHに、動画コンテンツを使いたいというニーズが出てきた。

グローバル広報部 社内・デジタル広報グループ 丸山 鉄臣氏は、「動画には、文章や写真を超える伝達力があります。臨場感をもってトップのメッセージなどを伝えることで、より多くの社員にアクセスしてもらい、One Shiseidoを実感してもらいたい。さらには、情報をスピード感を持って正確に共有することで、全社の動きを加速させたいと考えました。文章や社員とは違う、動画の持つメリットを利用し、WITHをより魅力的なインフラに成長させたかったのです」と話す。

ユーザーのICT環境に合わせて柔軟にボトムラインを設定

対象は、グローバルの全拠点。百貨店内のショップなど、リモートで働く美容部員もアクセスしている。これは、彼らの働いている場所によってIT/ネットワーク環境が大きく異なり、すべての視聴者が動画をスムーズに見られる環境に居るとは限らないことを意味する。また、社内からの大量視聴でネットワーク負荷が高まりすぎることも危惧された。特定の動画配信サービスを遮断している国にも拠点はあり、そこで働いている社員もOne Shiseidoのファミリーだ。

グローバルICT部 コミュニケーションサポートグループ 越智 佑子氏は、「ユーザー部門からは、動画管理をする際の扱いやすさに加え、WITHに組み込んだときのシンプルさや見やすさを求められました。さらに、ICT部としては、ユーザーのICT環境に合わせて柔軟にボトムラインを設定できる機能が必要だと考えました」と話す。

動画プラットフォームの選定に当たっては、ユーザビリティやセキュリティに加えて、こうしたインフラ面も考慮する必要があった。そして、それらすべてを充たすソリューションとして同社が選定したのが、Video Cloudだった。

Video Cloudの採用で動画を組み込めるようになり、WITHのコンテンツはよりリッチなものになった。トップからのメッセージは日・英両言語で収録され、即時に世界中に共有される。記者発表会やイベントは動画によって臨場感が高まり、社員たちの成功体験をシェアする動画も投稿されている。また、美容部員が、海外派遣プログラムの派遣先の国の様子や、活動内容、そして現地美容部員が登場する動画は好評だ。

美容部員自らがスマートフォンで撮影。外注コストは全くかかっていない。全世界の資生堂ファミリーの様子をWITHを通して閲覧することで、One Shiseidoファミリーを実感していく。

視聴分析の結果を反映し、より観られるコンテンツを

写真と文字だけで構成されたコンテンツと動画を組み込んだものを比較すると、ページビュー数が向上している。多くの社員が動画を同時視聴するためトラフィックは増えたが、帯域制限を設定してネットワークへの負荷を抑えて運用できている。

セキュリティも安心できるレベルにある。自由に動画をダウンロードされたり、動画への直接リンクをメールやSNSなどで外部に転送されたりすることは好ましくない。同社のニーズは、万全の情報漏れ対策は必要ないものの、最低限の対策だけはしておきたいというものだった。そこで、対策は右クリックやロールオーバーでURLを見せず、動画本体のリンク先を隠すという必要十分なものにした。

Brightcove Liveを利用したライブ配信の取り組みもスタートさせた。ライブ配信すれば、イベントの際などに、会場に居ない社員もリアルタイムにその模様を視聴できる。日本で実施されたイベントをリアルタイムに海外のオフィスに配信したケースでは、現地から社員のモチベーションが高まったという声が届いた。視聴分析も実施している。丸山氏は、「分析してみると、動画の種類によってエンゲージメントの高低差が見られました」と話す。「動画全体の長さを調整や、字幕を挿入、冒頭5秒以内にインパクトを与える演出を入れるなどし、常に試行錯誤しています。より観られるコンテンツを配信できるように改善に努めています」。

さらなるインターナルコミュニケーションの強化へ。同社は、動画を効果的に使ってOneShiseidoをより強固なものにしていこうとしている。

まだお探しのものが見つかりませんか?