社内コミュニケーション /

競争力強化のカギはインターナルコミュニケーション動画を使ってブランド価値を向上情報伝達を「深化」させる

社員が同じ価値観を共有できる仕組みを強化する

京都市に本社を置く大手電機機器メーカーのオムロンは、日本を含む世界8極に地域統合管理拠点を持つグローバル企業だ。大企業ゆえの社内のコミュニケーションの難しさについて、同社のコミュニケーション活動を統括する執行役員の井垣 勉氏は次のように語る。

「ビジネス拡大に伴い、組織が大規模化していきました。グローバルの各地域統合管理拠点や事業会社、国内各事業部の本社、営業/製造子会社など、多様な組織が連携しながらビジネスを進めるにあたり、浮上したのがインターナルコミュニケーションの問題です。トップのメッセージが各拠点にスムーズに届かなければ、グループ各社の足並みが乱れてしまいます。それを避けるため、情報伝達の仕組みの見直しを、重要な経営課題として取り組んできました」

キーワードは「ブランド」である。オムロンというブランドの価値は何かを全社員が正しく理解しなければ、その魅力を顧客やパートナーに伝えることはできない。社員のブランド理解を促進するには、グローバル全社員を巻き込んだコミュニケーション改革が不可欠だと同社は考えた。

もちろん、オムロンはこれまでもインターナルコミュニケーションの改善に取り組んできた。具体的には、紙の社内報やイントラネット上のテキストコンテンツなどを用いて、情報を積極的に発信してきたのである。

「ただ、経営トップと世界中の社員が、それだけで思いを1つにすることは困難でした。お客様に直に接する現場の社員に、より深く、タイムリーにメッセージを伝える新たな仕組みを模索していました」(井垣氏)

動画を使うことで見る人のエモーショナルな部分に訴える

そこで同社が注目したのが「動画」である。オムロンは現在、インターナルコミュニケーションのツールとして、ブライトコーブの「Video Cloud」を利用している。クラウド上に動画コンテンツをアップロードすることで、セキュアな動画配信を実現。マルチデバイス対応のため、社員手持ちのPCやスマートデバイスで、いつ・どこにいても動画を閲覧することが可能だ。

動画のメリットとして井垣氏は「コンテンツの魅力を高められること」を挙げる。「文字や写真などの静的コンテンツでも、誰が何を話しているかは伝えられます。しかし、動画ならそこにエモーショナル(感情的)な要素を加えることができます。発声の強弱や表情、仕草、BGMなどを含め、見る人の心に訴えるコンテンツを配信できるのです」(井垣氏)。微妙なニュアンスが伝えやすいため、ブランド価値という形のないものの理解を促進する上で有効だと考えたという。

数あるサービスの中でなぜVideo Cloudを選んだのか。実はオムロンは従来、衛星放送の仕組みを使って動画配信を行っていた。ただ、その場合はインフラを自前で持つ必要があり、相応の管理コストが必要だった上、海外拠点は接続不可能だったため、都度DVDに録画して郵送していたという。

「クラウドサービスなら自社でインフラを持たずに機能をサービスとして利用できます。さらに、国内外に関係なく情報を迅速に発信できる点、ライブ配信/オンデマンド閲覧の両方に対応している点などを評価して採用しました」と井垣氏は述べる。

さらに、Video Cloudを使い始めて新たにできるようになったことの1つが、動画の視聴状況の分析だ。全体のアクセス数や、どの部分が視聴されているかといったことを細かく分析できるため、結果を次のコンテンツ制作に生かせるようになっている。

「例えば、現場の社員が登場したほうが再生数は伸びたり、シーンを切り替えるタイミングの調整によって離脱防止が図れたりすることが分かり、効果的なコンテンツ制作に生かすことができています」と井垣氏は紹介する。

社内外をシームレスにつなぐ情報伝達プラットフォームへ

現在は、世界中の拠点に向けて日・英・中の3言語でトップのメッセージを定期的に配信している。また、現在の中期経営計画がスタートした2017年度から2年間、計画の内容理解を深めてもらうためのシリーズ動画も配信した。さらに、同社は創業記念日を「企業理念に立ち返り、あらためて、その精神に思いをはせる日」と位置付けてイベントを実施しているが、その模様もライブ配信したという。テキスト中心だったころより、イントラネットのアクセス数は大きく伸びている。

「また、Video Cloudを採用したもう1つの目的に、インターナルとエクスターナル(社外向け)のコミュニケーション統合化というものがあります。今後はそれに向けた動きも加速していきたい」と井垣氏は言う。

ビジネスに必要なテクノロジーやノウハウが多様化する現在、市場が求める製品・サービスを1社で提供することは難しくなっている。複数のパートナーと連携して研究や開発を進める手法が一般化しつつあるが、これによって、戦略方針を共有すべき対象が外部企業にまで広がっているのだ。

「社内外とのコラボレーションやオープンイノベーションを加速するための武器として、Video Cloudを活用していきたいですね」と井垣氏は話す。

インターナルコミュニケーションの改革により、さらなるブランド価値の向上を狙うオムロン。クラウドサービスを活用した同社のアプローチは、多くの企業にとって重要なヒントとなるだろう。

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